α‐リポ酸は超高齢社会の救世主か

日本が高齢化社会と言われるようになってから久しいことですが、高齢化社会というのは65歳以上の高齢者の割合が7%以上となった場合で、1970年には7%を超えています。14%以上になると高齢社会で、1995年には達しています。そして、21%以上になった場合が超高齢社会で、2010年には21%を超えています。今では27%を超えていて、2025年には30.0%、2050年には37.7%と推計されています。
日本の高齢者は、以前に比べて心身ともに10歳は若返っているとして、日本老年学会と日本老年医学会は研究成果に基づいて高齢者を75歳以上とすることを提言しています。65歳になったら高齢者と呼んで特別扱いすることは今では違和感を感じるまでになっていますが、身体の若返りは認めるとしても、脳の機能、つまり認知機能は年齢を重ねるほどに低下していきます。認知機能の若返りは残念ながら望むことができず、65歳以上の認知症患者は2015年には16.0%だったのが、2025年には20.6%、2050年には27.8%になると総計されています。
これは認知症患者だけの数字で、認知症の予備群である軽度認知障害も同数はいると推測されています。なんと2050年には高齢者の半分が認知症か軽度認知障害になるという恐ろしい時代が目の前に迫っているのです。65歳以上で見た目には若くて健康そうでも、脳の機能が大きく低下してくるとなると、さまざまなトラブルが引き起こされ、そのための対策にかかる時間と費用も大きくなります。そんな時代に対応するためには、いかに脳の機能を低下させないようにする、場合によっては向上させるための方策を取らないわけにはいきません。
その方法として私たちが注目していうのがα‐リポ酸です。α‐リポ酸は全身の細胞のミトコンドリアにブドウ糖を取り込ませるために必要な代謝促進成分で、若いときには体内で充分に合成されているので不足することはありません。しかし、α‐リポ酸の合成量は20歳がピークで、年齢を重ねるにつれて減少していき、それが全身の代謝を低下させる原因になっています。だから中高年以降は太る一方という話がされるのですが、脳細胞はブドウ糖しかエネルギーにすることができません。他の細胞のように脂肪酸もアミノ酸も使うことができないのです。
ということは、α‐リポ酸の不足は脳細胞にブドウ糖が送られにくくなり、エネルギー不足から認知機能が低下することは当然のように考えつくことです。α‐リポ酸は医薬品成分から食品成分として使うことが許可されており、サプリメントで摂ることができます。