「中々やせない」はわかりにくい

テレビ番組のテロップは文字数が限られているので、ひらがなで表現すると長くなることから、漢字になるものは漢字にするというのが一般的です。文字変換はパソコンを使えば簡単にできます。書籍や雑誌などの文字の世界では「迷ったら“ひらく”」と言われます。ひらくというのは、平仮名にすることです。平仮名の話をするのに漢字では伝わりにくいので“ひらがな”と表現します。
ダイエットをテーマにしたテレビ番組で、皮下脂肪は減りにくいことを表現するテロップが「中々減らない」となっていました。皮下脂肪が多くなっているときには内臓脂肪が減ってから減るという順番になっているので、内容的には正しいことなのですが、「中々減らない」と出ていたときに中々が気になってしまって、すぐには内容が頭に入ってこなかったことがあります。
テロップを見ていて気づいたのは「々」がよく出てくることです。々は、そもそも何という読み方をするのかというと“同の字点”といい、漢字ではなくて“、”の仲間です。文字の形から“ノマ点”と呼ばれることもあります。
々が使われるものは日々、徐々、次々、久々、人々、我々、個々、堂々、国々、数々、倍々、面々、少々、多々は一つの言葉として認識されているので、あまり違和感を感じることはありません。ところが、中々、色々、程々、段々、益々となると読めないことはないものの、ピンとこないこともあります。益々は増々となっていることもあります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、パソコンどころかワープロ(ワードプロセッサー)が登場する前から文筆をしてきたので、漢字で書きたくなる気持ちはわかるものの、見ている人にわかりやすい、伝わりやすいというのが文字表現の基本なので、ひらけるものは“ひらく”ということを心がけていると話します。しかし、しばしば漢字になることもあります。これもパソコンで打っているからです。
しばしばは間をあけて繰り返すことで、「目をしばしばさせる」ことではありません。この話を打ち込んでいるときに変換キーに触れてしまい、屢々と変換されました。最後に読み間違いが起こりやすいものとして、各々(おのおの)と夫々(それぞれ)を紹介します。それぞれは其々とも変換されます。読み間違えると意味が通じなくなることもあるので、ひらくように特に気をつけています。