「先生に言ってやろう」の出だしの地域性2

いけないことをやった人に対して「先生に言ってやろう」と言うときに、囃し言葉のように使われる言葉を紹介したところ、「関東と関西の違いだけか」とツッコミがありました。
「あ〜らら、こらら」は千葉県、群馬県、埼玉県で使われているとの紹介に、あちらこちらから意見が寄せられて、岩手県、宮城県、新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、山口県、佐賀県、大分県の13地域で使われていることがわかりました。秋田県では変化形の「わ〜りゃっちゃ、わりゃっちゃ」が、大分県では「わ〜りいんだ、わりいんだ」が使われています。これは“悪いやっちゃ”という関西弁にも通じるところがあります。
「い〜けないんだ、いけないんだ」は東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県のほかに、山形県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、鳥取県、広島県、熊本県、長崎県、鹿児島県も合わせて18地域で使われています。広島県では「い〜けんの、いけんの」も使われています。もちろん地域によって微妙な違いはあるのですが、「あ〜らら」と二大勢力であることがわかります。
言葉の変化は中央から離れるほど大きくなっていくのが一般的で、北海道は「わ〜るいんだ、わるいんだ」、青森県は「い〜んだがれ、いんだがれ」が使われ、山口県では「い〜けんぞ、いけんぞ」、徳島県では「し〜らないんだ、しらないんだ」、岩手県は「あ〜らら、こらら」のあとに「いいのっか、いいのっか」が続き、宮城県は「い〜けないんだ、いけないんだ」が続いています。岐阜県で「い〜っちゃろ、いっちゃろ」、これは関西圏の「ゆ〜たろ、ゆ〜たろ」と共通するところがあります。この派生系の「ゆ〜ちゃろ、ゆうちゃろ」は三重県、愛媛県、岡山県で使われています。
地域によっては特殊な言葉が使われることもあり、島根県の「や〜や〜や、い〜けんの」、岡山県の「や〜や〜や、えんかぁ」、長崎県の「し〜らんたい、こ〜らんたい」、宮城県の「げ〜げ〜げ〜、い〜かんじ」、鹿児島県の「お〜お〜お〜、お〜お〜お〜」、沖縄県の「し〜らんさ、し〜らんさ」というように、独特の発展をしたものと思われます。