「立派な病気」って何?

立派な身体、立派な健康体という表現なら何も違和感はないものの、“立派な病気”という表現をされると、どんな状態なのだろうと疑問符だらけになります。医療や介護の世界では“健康な患者”という表現をされます。病気になっても病状には大きな違いがあり、患者の体力や免疫力にも差があるので、治療する側、介護する側にとっても治すべき疾患、サポートすべき部分以外は健康状態であってほしいと願うのは当たり前のことです。
このことからすると“立派な病気”というのは健康な患者と似たようなものというイメージがあるかもしれませんが、これなら“立派な患者”となるはずです。
“立派な”の使い方として、よくメディアに登場するのは“立派な犯罪”です。立派というのは、ほめられる対象となるもので、犯罪が立派なわけはありません。どうやらメディアでは“はっきりとした”“間違いなく”という意味合いで“立派な”を使っているようです。となると、“立派な病気”というのも間違いなく病気であって、予備群や病気もどきではないということになりそうです。
この立派な病気ということで一つ述べるべきことがあるとすると、糖尿病は“立派な病気か”ということです。“病”という文字がついているので糖尿病は病気というのが普通に認識です。そう説明されても納得する人は多いかと思います。糖尿病は血液検査の結果が診断基準を超えていたら診断されるわかりやすい状態です。わざわざ状態と書いたのは、糖尿病と診断されても初期段階でインスリンが分泌されている状態なら、治療薬を使わずに食事療法と運動療法だけで改善させることができます。これは病気ではなく、自分で病気から元の健康な状態に戻れる、それこそ“立派な病気”と言えるのではないか、という考えをしています。
言葉の間違いを指摘するだけでなく、間違いであっても、それなりに受け入れられて広まっていることをきっかけにして、考えをまとめるということもしていかないといけないのではないかと考えているところです。