お湯はホットウォーターか

お湯についての話で、英語のような表現ということを紹介したところ、「ボイリングウォーターのことか」と、メディア関係者からツッコミがありました。国語の辞書で湯を引くと、水を煮えたたせて熱くしたもの、ということが出てきます。辞書によって表現は異なるものの、基本的には共通していて、沸騰したお湯を第一項に示しています。沸騰すると100℃になるので、お湯といえば100℃になります。カップ麺に注ぐお湯は100℃を想定して3分間と定めています。もちろん麺の種類と量によって長めの時間が必要になるものもあります。
なぜカップ麺の話をしたのかというと、海外でカップ麺を食べようとしてサービスでお湯を頼んだら、お茶の飲みごろの温度のお湯を持ってこられて、「おいしくカップ麺が食べられなかった」という話をしている人がいたからです。持ってきてほしかったお湯は100℃で、持ってこられたお湯は80℃くらいだったようです。ウォーターサーバーから注がれるお湯は機器によって差はあるのですが、80〜90℃となっています。試してみたことがあるのですが、90℃なら5分ほどの時間がかかってもカップ麺を食べることができます。
お湯を頼むときにboilingwaterというか、カップ麺を食べるためだということを伝えていれば熱湯が来たのでしょうが、「お湯=hotwater」と習った世代では、お茶を飲む熱めのお湯を指すお湯のほうが言葉として出てしまうことにもなります。Hotwaterではなく、お茶を飲むなら温かめのお湯であるwarmwater のほうが適しているのでは、と発言した人もいます。目的によって、熱いお湯、熱めのお湯、温かめのお湯と使い分けているということですが、これからはお湯を表現するときには温度も付け加えることが必要かもしれません。
熱めのお湯ではコーヒーや紅茶はおいしく飲めても、緑茶は温かめの温度のほうが甘みが出て、よりおいしく飲めます。これは旨味成分のアミノ酸が50℃以上で溶け出るからです。香りは90℃で立ち上がります。ちなみに緑茶のポリフェノールである抗酸化成分のカテキンは100℃に近くなるほど多く出るようになります。