さらにある「大」がついた“異音意義”

「大根」と書かれていたら、一般的には“だいこん”と読んで、アブラナ科の根菜を指します。大根は芸の下手な俳優をあざけっていう語でもあり、また紋所の名でもあります。大根は食あたりしないことから当たらないという意味からつけられたといいます。家紋には大根の絵柄が描かれてします。“おおね”と読むと大根の古称で、このほかに太い矢じり、物事のおおもと、根本、本心を表します。古称ということは“おおね”という呼び名の漢字が“だいこん”と読まれるようになって、元は同じということにもなります。
「大工」は一般的には“だいく”で、建築技術者、木工の職人、建築工事における工匠の長と意味します。最後の工匠の長は別の言葉では“おおたくみ”で、大工の長になります。大工という漢字だけでは、どのレベルの大工なのかわからないということです。
「大引」は“おおびき”と読むと、めくりカルタで普通は三人の手合わせのうち親に始まって最終に札をめくる番のことで、他に床の根太を支える横材を意味します。“おおびけ”と読むと、取引所で最終の立会の意味で、江戸時代の遊郭で定められた閉店時刻も同じ読み方をします。
「大水」は“おおみず”と読むと大雨などのために河川・湖沼などが増水することで、“たいすい”と読むとおおみずの意味のほかに、でみず、洪水、大きな川または湖を表します。
「大目」は“おおめ”と読むと分量が少し多いくらいの加減で、二百匁を一斤とする呼び名となっています。また、大雑把に見積もること、寛大にすることを指します。“だいめ”と読むと茶室用の畳で台子を置くだけの畳目を除いたもので、この他に田一町につき収穫の四分の一を税として引き去ること、薬種の目方の名。四分の三、大部分を意味します。
「大雪」は“おおゆき”と読むと激しく大量に降る雪で、“たいせつ”と読むと激しく降る雪のほかに、多く積もった雪となります。また、二十四節季の一つも、この読み方をします。
「大連」は“おおむらじ”と読むと大和朝廷の執政者ですが、今では中国遼寧省南部の港湾都市の“だいれん”のほうが知られています。