どれくらい日本人はインスリンが少ないのか

日本人はインスリンがインスリンの分泌量が欧米人に比べて少ないということは何度も伝えてきたことです。これを見ているメディア関係者から、すぐに「どれくらい違うのか」という質問が来ることを想定して、データを準備して待っていたのですが、今にいたるまで質問はありません。かなり違っているので気になって当たり前と思うのですが、なぜか何のリアクションもないので、多くの人が知らないところ私たちが思い込んでいるだけで、実は広く知られているのではないかと心配になったりもします。
ということで、常に情報交換をしているメディアの方々に、こちらから質問メールを送ってみました。それに対して「そういえば……」という反応ばかりで、私たちの心配は何だったのかと思うのと同時に、どうして質問してこなかったのかという疑問が続いている毎日です。
インスリンの分泌量の違いについては、いくつかの研究があり、比較研究もされているのですが、かなり開きのある結果で、3倍から5倍の差にもなっています。感覚的には「日本人の3倍も分泌されている」のか逆に「日本人は3分の1しか分泌されていない」ということでも充分にインパクトがあるのですが、ここは中をとって4倍、つまり欧米人は日本人の4倍も分泌されている、日本人は欧米人の4分の1しか分泌されていない、と表現してみようかと思います。
この4倍という差があったとすると、いかにすごい開きかということを示してみたいと思います。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞の中に取り込んでエネルギーとするために必要なホルモンです。この分泌量が低下するために日本人は糖尿病になりやすくなっています。もしも4倍とまでいかなくても、2倍であっても分泌されていれば糖尿病になる人は大きく減らせるはずです。現在の日本人の成人(約1億人)のうち約1000万人が糖尿病患者、約1000万人が糖尿病予備群で、合わせて約2000万人、5人に1人が血糖値が高い状態だと推定されています。これが半分に減ったら、どれだけ苦しむ人を救うことができるかということです。