よく噛めない人に「噛んでボケ防止」という話

噛むことは消化・吸収を助けて免疫を高める、脳の機能を向上させるなどの健康効果が言われていますが、これらの効果が原則的にタダで得られるのが噛む健康法のよいところです。噛むことに関する健康書籍は歯科医だけでなく内科医も長寿科学の研究者も書いているので、何冊も並んでいる書店もあります。
その中でも人気が高いのは、認知機能を高める効果が紹介されているものです。これらの書籍に共通しているのは、しっかりと噛める人に対するアドバイスで、よく噛めなくなった人は、どうすればよいのかということについては、すべての書籍の目次に目を通してみたのですが、見つけることはできませんでした。
しっかりと噛んだほうが脳にはよいということはテレビの健康番組の人気テーマとなっているので知っている人も増えています。それもあって、しっかりと噛みたいと思っていても、歯の状態、顎の状態で充分に噛むことができない人もいます。そんな人のために、しっかりと噛めない人でも、しっかりと噛んだのと同じような効果が得られる噛み方が紹介されていればよいのですが、これは今の段階では無い物ねだりです。
しっかりと噛めないというのは、ただでも噛まないで済むようなものを食べて、よく噛まないために唾液の分泌量が減るだけでなく、胃液の量も減ります。噛むことによって膵臓から分泌されるインスリンの増えることが確認されています。噛まなくても食べられるものは消化に時間がかからないものだけに、いくら消化液が少なくても吸収が早くなり、血糖値が上昇しやすくなります。血糖値は大きく上昇する、しかしインスリンの分泌量が増えにくいということでは、高血糖状態が続くことになり、糖尿病のリスクを高めることになります。
脳細胞のエネルギー源になるのはブドウ糖だけで、糖尿病になるとブドウ糖の細胞への取り込みが全身で低下することになるので、脳もエネルギー不足となります。脳を正常に働かせるためにはブドウ糖が必要です。糖尿病になると認知症のリスクが高まるのは、このことが原因となっているのです。
こんなことを書いたのは、理事の一人が顎関節症になって、よく噛めなくなって、ほぼ流動食生活をしているからです。血糖値と認知機能のメカニズムからいうと、噛まなくても食べられるものしか受け付けない状態のときには、糖尿病にならないように血糖値の急上昇を抑えるために、ブドウ糖の量をコントロールすることと同時に、ブドウ糖の吸収を遅らせる水溶性食物繊維を摂ることがすすめられます。それは難しいだろうということで、当方の理事が活用しているのはα型のシクロデキストリン(環状オリゴ糖)です。
シクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。