アドレナリン分泌の調整でリラックス

運動をすると脳から興奮ホルモンのアドレナリンが分泌されて、全身の筋肉や臓器が活発に働くようになります。活発に働かせるためのエネルギー源として脂肪酸が必要になり、血液中の脂肪酸が減少すると体脂肪として脂肪細胞内に蓄積された中性脂肪が分解されて、脂肪酸が血液中に放出されます。この脂肪酸を細胞内のミトコンドリアで代謝させることによって、活動のためのエネルギーが作り出されています。
アドレナリンは運動後には分泌量が元の状態に戻るのですが、戻りにくい状態の人がいます。その代表が肥満の人と喫煙している人で、アドレナリンが常に多く出続けています。
肥満とされるほど太っている人は、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪が多くなりすぎていますが、これは正常な状態ではないため、中性脂肪を分解して減らすためにアドレナリンが出続けています。また、喫煙をしていると、タバコを吸っているときだけでなく、吸っていないときにもニコチンなどの有害物質の刺激によってアドレナリンが出続けることになります。
アドレナリンは多く分泌されると、血管が収縮して血圧が上昇し、心拍数も高まっていきますが、血流が低下することから酸素量が不足して呼吸数が多くなります。いわゆる興奮状態で、この状態が長く続いたのでは心身ともに休息することができなくなります。
運動をしているときだけでなく、昼間の活動時間帯にはアドレナリンが多く分泌されていて、その作用によって自律神経の交感神経の働きが盛んになります。夕方以降の休息の時間帯には副交感神経の働きが盛んになって、アドレナリンの分泌が減るように通常は調整されています。ところが、アドレナリンが常に多い状態になっていると、興奮状態になって心身ともに充分に休息することができなくなります。疲労の蓄積は、代謝を低下させるため、アドレナリン分泌の調整は健康の維持にも重要になります。脂肪細胞の中に多くの中性脂肪が蓄積されている人の場合には、アドレナリンが分泌され続けているだけに、副交感神経の働きを盛んにさせる作用がある低め(ぬるめ)の温度での入浴、深呼吸、音楽や香りによるリラックス効果を活用するようにしたいものです。