アメリカでは発達障害児の教育はプロが担当する

発達障害児の進学について議論されるときに、私立小学校は無理だという当事者の親の発言が紹介されることがあります。私立学校の中には、発達障害児の親に、高校まで、もしくは大学までレールが敷かれているということで進学をすすめるところもありますが、これを受け入れられる家庭は多くはないはずです。
発達障害児の親が公立小学校の選択するのは、かかる費用の問題もあるのですが、知的の遅れがなくて発達障害の特性が強くなければ普通学級で学ぶことができるからです。知的な遅れがなくて発達障害の特性があり、コミュニケーション能力や情緒に問題がある状態になっても、普通学級に在籍しながら通級指導が受けられることもあります。
通級は在籍校に特別支援学級がある場合は、そこで週に数時間、状態に応じて小集団か個別で、人との関わりに欠かせない能力を身につけるためのソーシャルスキルトレーニングなどの指導が受けられるものです。在籍校に特別支援学級がない場合には、隣接校の特別支援学級に通うこともできるという制度で、公立小学校の場合には自治体の主導で連携が取れているので通級指導が受けられないことはない、という説明がされています。
知的な遅れがあるか、情緒面で集団生活が困難であると判断された場合には、在籍校の特別支援学級で学ぶことになります。そして、知的な遅れがあって、身体的な障害がある場合には特別支援学校に通うことになります。特別支援学校は、年齢相応の教育が施されるとともに、障害による学習上や生活上の困難を克服して自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的としています。
特別支援学校では専門家による指導とケアが受けられるので、学校内の支援学級や通級でも同じような指導とケアを期待しがちです。そこに“おまかせ”すれば、大丈夫と安心できたらよいのですが、専門性が高く、経験も豊富な教師がいる場合もあれば、そうではない教師が担当している例も残念ながらあります。
アメリカでは、特別支援教育を担当するのは、州によって違いはあるものの修士号取得者以上となっています。それに対して日本は教員免許を持っていれば、誰でも教師になれ、また支援学級の教師にもなることができます。まだ、支援学級の専門免許もなければ、普通学級で発達障害児を教育するための免許制度もありません。これを国に求める活動はあるものの、それを待っていられないという考えから、発達障害児の家族の団体などが働きかけをしていますが、それと同時に個々での対応を進めるための教育と情報発信が必要であると関係先に訴えかけているところです。