インターバルウォーキングはエネルギー理論

速歩と普通歩行を交互に繰り返すインターバルウォーキングは、初めはサーキットトレーニングのウォーキング版として考えられました。サーキットトレーニングは無酸素運動のマシントレーニングと有酸素運動のジョギング(その場足踏み)を交互に繰り返すもので、無酸素運動によって筋肉に血液を多く送り込み、それによって筋肉の中の酸素を増やし、その酸素を有酸素運動で使って脂肪を効率よく代謝させることを狙っています。マシンを使わなくても、歩く速度を変えることによって有酸素領域の歩行と無酸素領域の歩行に切り換えて、サーキットトレーニングと同じ効果を得ようというわけです。こういうことではインターバルウォーキングは有酸素理論と考えられています。
サーキットトレーニングは無酸素運動と有酸素運動を30秒間ずつ行います。これは無酸素運動を30秒間以上続けると疲労物質の乳酸が多く作られるようになるからです。しかし、乳酸は有酸素運動によってエネルギーとして使うことができるので、乳酸が溜まってきても、その後に有酸素運動を長めにすれば乳酸を効率的に使うことができるようになります。それもあってインターバルウォーキングは3分間の速歩、10分以上の普通歩行を繰り返すのを基本としています。
基本というのは、目的によって歩き方を変えているからで、ブドウ糖の燃焼を盛んにして血糖値を安定させるためには速歩の時間を長くします。脂肪酸の燃焼を盛んにして中性脂肪値を安定させるためには普通歩行の時間を長くします。この他にも目的によって速歩と普通歩行の長さを調整して対応しています。それと合わせて、乳酸を多く蓄積させて効率よくエネルギーとすることも実施しているので、その意味では乳酸理論となります。
有酸素理論と乳酸理論は、ともに細胞のミトコンドリアの中のエネルギー代謝を活用したもので、エネルギー理論であると私たちは考えています。エネルギー代謝を盛んにするためには、ブドウ糖をミトコンドリアに取り込む作用があるα‐リポ酸、脂肪酸を取り込む作用があるL‐カルニチン、ミトコンドリア内の代謝酵素の働きを補う補酵素のコエンザイムQ10が必要になります。また、エネルギーを作り出すミトコンドリア内のTCA回路を的確に進めるためにはビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂がセットで揃っている必要があります。必要な栄養成分を確保しておかなければ、せっかくの運動理論を発揮させることができないということです。