インターバル速歩の理論と実施法

インターバルウォーキングとインターバル速歩の違いについて紹介したところ、すぐに質問が複数ありました。てっきりインターバルウォーキングの詳細を知りたがっているものと思っていたら、インターバル速歩の基本的な理論を知りたいというものばかりでした。考えてみれば、インターバルウォーキングについては何度も紹介してきましたが、インターバル速歩については比較するばかりで、詳しくは触れてはこなかったからです。
インターバル速歩は乳酸理論から発しています。乳酸は筋肉の中の白筋(速筋)に負荷がかかりすぎると発生する疲労物質です。疲労物質を、そのままにしておくと疲労が蓄積して筋肉が動きにくくなります。しかし、たまった乳酸を有酸素運動によって使うと、これをエネルギー源として活用することができます。有酸素運動で活躍するのは赤筋(遅筋)ですが、赤筋は主には脂肪酸をエネルギー源としています。乳酸を多くためて、これをエネルギーとして使うことができると、エネルギー源が増えて、持久力を高めることができます。
さらによいことに、脂肪酸と乳酸をともにエネルギーとするためには、これまでの細胞内のミトコンドリアでは不足することから、ミトコンドリアの数が増えていきます。これはスポーツ選手には重要なことなので、スポーツ選手は乳酸を多く発生させるためのトレーニングと、乳酸を上手に使うためのトレーニングを行っています。
乳酸が多く発生する運動量は個人によって異なりますが、一般の人は最大の運動量の70%ほどの負荷がかかったときで、歩くだけでも70%にすることができます。その方法の一つが速歩です。どれくらいの速歩かというと、なんとか歩きながら会話ができる程度の「ややきつい」と、もう話をすることができない「きつい」の間の速度、分速にすると160〜200mの速度になります。
3分間の速歩と普通歩行を3分間ずつ実施しますが、普通歩行から始めて速歩を5回行い、最後に普通歩行をするので、速歩3分間×5回と普通歩行3分間×6回で1セットが33分間となります。これを週に4回することがすすめられています。つまり、週4回の継続でミトコンドリアが増えていくということです。