ウォーキングで全身のエネルギーを作り出す

「ウォーキングは運動効果を高める歩き方をすればスポーツになる」ということが言われていますが、それでも「たかが歩くだけ」という言われ方をすることが多々あります。しかし、日本メディカルダイエット支援機構では「歩くことがスポーツ機能を高める最良の方法」と考えています。スポーツといっても様々で、イメージとしては全身運動ということになるのかもしれないのですが、案外と身体の一部しか動かしていないものもあります。実際に動いていないのかというと、それなりには動いているかもしれないのですが、私たちが動くといっているのは“エネルギーが発生する”というレベルの運動量を指しています。
私たちの身体は、筋肉などを動かすことによって生命維持や活動に必要なエネルギーを作り出しています。そのエネルギーを作り出しているのは全身の細胞の中にあるミトコンドリアという小器官です。エネルギー源となるブドウ糖や脂肪酸をミトコンドリアの中に取り込んで、これを材料にしてTCA回路の中でエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を発生させます。エネルギー物質と聞くと、電気のように発生したエネルギーというような印象が抱かれがちですが、ATPはエネルギーを発生させる元となる物質です。
ATPからリン酸が1つ外れてADP(アデノシン二リン酸)になるときと、ADPからリン酸が1つ外れてAMP(アデノシン一リン酸)になるときにエネルギーが発生しています。この発生したエネルギーは、これもまた電気とは違って、他のところに流れていくものではありません。細胞の中のミトコンドリアの中で発生したエネルギーは、その細胞の中でしか使われません。全身の細胞を活性化しようとしたら、全身の細胞でエネルギーが作られるようにしなければならず、そのエネルギー産生を高めるには全身の細胞が運動によって動かされる必要があるということです。
身体の調子がよくない、改善したいところがあるという場合には、その気になるところには多くのエネルギーが必要になります。となると、多くのエネルギー源を細胞に取り込んで、これを酸素とともにミトコンドリアの中でエネルギーを多く作り出してやらなければいけないわけで、細胞は刺激を受けて動かされることによってエネルギー源と酸素を多く取り込むようになり、そしてTCA回路の中でエネルギーを多く作り出すようになります。
ウォーキングは身体にかかる負荷は走ったり、投げたりということに比べると弱めであっても、全身が動いて、多くの筋肉が使われます。下半身には骨格筋の70%ほどがあり、脚に比べたら動いていないようでも上半身の筋肉も使われています。体調で気になるところがあるときには、その部分で作り出されるエネルギーを多くするために、意識して動かすということもできます。