ウォーキングの前進力を高めるトレーニング

正しい歩き方を口で説明されても、画像や動画で示されても、実際にやるのは難しいことです。体感できることは一番ですが、それを教えてくれたのは東海大学名誉教授の宇佐美彰朗先生です。宇佐美先生といえば、マラソンランナーとしてオリンピック3大会連続で代表選手として出場しました。その大会はメキシコ、ミュンヘン、モントリオールです。この3大会をあげると、そんな都市でオリンピックがあったのかと言う若い人から、懐かしいと言う人までいて、この話をすると“歳がバレる”ことにもなります。
宇佐美先生は走り方の専門家ですが、走るように歩く、歩くように走ることを指導する“ジョグ・ウォーク”を進めていて、これは日本メディカルダイエット支援機構の理事長が、理事を務めていた公益財団法人日本健康スポーツ連盟が資格認定として教育を実施しています。走るように歩くというのは、足の運び方だけではなく、勢いよく前進する身体の使い方を覚えるための方法でもあります。
これを身につけるために宇佐美先生から教えられたのは、自転車のチューブを2本、胸の前に左右にかけて、後ろから引っ張られながら前進する方法です。後ろから引かれる力に抵抗して前進するためには、ただ足を前に出すだけではなくて、身体を前側に倒した、いわゆる前傾姿勢になって、前に倒れる勢いを使って前進することが必要になります。宇佐美先生は、歩くときの基本は足を前に出すというよりも、前傾姿勢から前に倒れそうになるのを片足を前に出して、倒れないように支えるようにして、このときの前傾姿勢を保ちながら進んで行くことを指導しています。
後ろから引っ張られながら歩くことは、なかなか身につけにくいのですが、実は簡単に身につける方法があります。それは坂道を歩くことです。坂道を進むときには、前傾姿勢になって、自分の体重を前側にもっていくようにして歩かなければなりません。坂道がないときには、リュックなどで荷物を背負って歩くことです。荷物が重くなるほど、前傾姿勢にならなければ歩きにくくなります。こういった方法を利用して、勢いよく前進する方法を身につけてもらうようにしています。