ウォーキングの“身から出たサービス”

“身から出た錆(サビ)”という諺があります。「自分の行為の報いとして禍災を被ること」「自分の悪行の結果として自分が苦しむこと」を指しています。要は「自業自得」ということです。初めから悪いことだとわかっていながら行ったのでは自業自得と言われても仕方がないとしても、むしろよいことをするつもりだったのに、それが結果として悪いことになったということも多くなっています。私たちの関係先でも本当に相手のことを思ってしてあげたことなのに、結果が悪かっただけでなく、もともと悪いことをしたとまで言われることがあります。
こういうことを私たちは「身から出たサービス」という言葉を使って表現しています。これは健康セミナーで講師が聴衆のためにサービスで言ったことが、とんでもないリターンになることを示しています。質問を受けるときにセミナー会場の中で、時間を限って質問を受けて、これで終わりとすればよかったところが、「質問には後日答えることもできます」と言ったために、名刺に記載された講師のメールアドレスにメールが次々に入る、FAXには紙がなくなるまで送られてくるということです。
ウォーキングの健康についてのセミナーで、「皆さんと一緒に歩いて、正しい方法を伝えたい」と講師が話した結果、全国各地で実施されるウォーキングイベントへの参加をメールとFAXで伝えてきて、その多くは交通費も宿泊費も自腹でということで、とんでもない「身から出たサービス」をしたものだと本人は反省の弁を伝えてきました。一番被害を受けたのは、実は講師ではなくて、セミナーの主催者の私たちで、講師ができない分を私たちでカバーしなければならないことも多々あって、これには苦労をさせられたことがありました。
「身から出たサービス」とともに私たちが使っている諺に「身から出たワサビ」があります。ロシアンルーレットのように一貫だけワサビの量が極端に多いものが混ざっていて、それが外観からもわかるようなことで、どうみても怪しい状態を指すのが本来の使い方のようです。セミナーの場面でいうなら、聴衆が本気にならない程度のサービストークで止めておいてくれて、信じて食いついてきたら「身から出たワサビ」を口にすることになるかもと思って、適度な質問で終わってくれることを願いつつセミナーに臨んでいます。