ウォーキングは右折車に注意

公道を歩くウォーキングでは、信号に係員を立てて安全を確保すること、歩道がないところでは遠くが見通せるところに係員を立てて車道にはみ出さないようにする、というのが大原則です。それに加えて、信号があってもなくても右折車には注意するという項目が加えられています。以前から言われていたことなのですが、右折車が直進車に追突して、直進車が信号待ちをしていた幼稚園児に突っ込むという悲劇があってから、外歩きでは徹底するように関係者に指示が出されています。
右折するときには対向車に注意するというのは交通ルールの基本中の基本ですが、いわゆる地元ルールという困ったことが横行している地域があります。不名誉な地元の名前がつけられた呼び名がされていて、有名なところでは“松本走り”があります。これは直進する対向車がいても右折が優先されるというものです。これと同じなのが“山梨ルール”で、対向車がいてもいなくても右折優先で、減速なしに右折をするものです。
これと似たものが“名古屋走り”で、信号の切り替わりの前後に交差点に突入するもので、「黄色まだまだ、赤勝負」などという恐ろしい言葉が通用しています。このような感覚が、交通事故死15年連続全国ワースト1という結果につながっているのかもしれません。名古屋走りでは赤勝負であっても青信号になったら、さすがに躊躇します。ところが、“茨城ダッシュ”となると、対向車が来る前に青信号になっても強引に右折するというもので、こんなに恐ろしいことはありません。
これと似たものが“伊予の早曲がり”で、交差点で右折するときに急発進させて、直進車よりも早く右折する走り方です。さすがに、これは全国的にルール違反だろうと思っていたら、道路交通法よりも地域の条例が優先されるところがあって、直進か右折かに関係なく先に交差点に入ったほうが優先という“播磨道交法”と呼ばれるものさえあります。
不名誉な命名は確信犯ともいえるものですが、やっている人が悪いことと思わずにやっている地域があって、それは最もウインカー(方向指示器)を使わない岡山県です。日本自動車連盟(JAF)が実施したアンケート調査で、「方向指示器を出さずに車線変更や右折する車が多い」という項目に「とても多い」「やや多い」と回答しているのは91%とダントツのトップです。
こうなると右折車だけに注意をしていればよいという話ではなくて、公道のウォーキングは恐ろしくてなりません。その点、備前市の西片上から和気町を通過して美咲町棚原までの全長34kmのウォーキング・ランニング・サイクリング専用道なら、わずかに自動車道が交差しているだけなので、安心して歩くことができます。