ウォーキングは長距離を歩けばよいのか

ウォーキングは誰もが簡単に実践できる健康づくりの運動法として多くの方々に受け入れられています。それと同時に、生活習慣病の予防・改善のために医師をはじめとした健康づくりに関わる多くの専門家によって推奨されています。ウォーキングは自然環境を楽しみながら継続することができる有酸素運動であり、高齢者や運動不足の中高年などの体力増進や心肺機能の向上ばかりでなく、生活習慣病と運動科学の研究科学が進むにつれて、生活習慣病予防のみならず、介護予防、認知症予防までを可能とする機能トレーニングとしても期待されています。
日本のウォーキングの歴史は、東京オリンピックが開催された1964年に始まりました。その前年の1963年に早稲田大学の精神高揚会の有志メンンバーがアメリカ大陸6000kmを歩いて横断するイベントに参加。この成果をもって歩け歩け会を設立しましたが、そのときの会長はレスリングの父と呼ばれ、東京オリンピックの招致に尽力した八田一朗さんです。歩け歩け会が発展して、のちの日本ウオーキング協会へとつながっています。
ウォーキングは、いわば歩くことだけなので、いろいろな方法があります。数多くあるウォーキングの種類の中で歩け歩け会が採用したのは、マーチングリーグというオランダを発祥とする集団で長距離の完歩を目指すタイプのウォーキングスタイルです。いわゆる行軍の歩行法で、長く歩くことを重視しています。日本ウオーキング協会が開催するウオーキング大会に参加する多くの人が楽しみにしているのは、地球1周分の4万kmの歩行距離です。大会の公式コースの完歩がポイントとなり、4万kmを目指して長い距離を歩く大会に多くの参加者が集まっています。中には1日に50kmのコースを3日間にわたって完歩する大会もあります。
長く歩けばよいというわけではない、とはよく言われることですが、では何を目指せばよいのかというと健康づくりです。健康を目的としたウォーキングとしては、心臓機能を高めることを目的としたパワーウォーキング、心肺機能の向上を目的としたエクササイズウォーキング、生活習慣病予防やダイエット目的のフィットネスウォーキング、2本のポールを用いた全身運動のノルディックウォーキングなどがあります。
目的や方法は異なっていても、通常のウォーキングよりも身体負荷が強く、それぞれの目的に対応した医科学的な検証が行われています。
身体負荷が高まるほど高齢者や身体機能が低めの方々には継続しにくいことも指摘されていて、目的に応じた効果的な歩き方の実践指導が求められ、研究が続けられてきました。その研究については大学や研究機関に加えて、日本ウオーキング学会や公益財団法人日本健康スポーツ連盟でも実施されています。