ウコンが肝臓に悪影響を与えてしまう

ウコンは肝機能を改善する健康食品というイメージが一般に抱かれていて、肝機能が低い人はウコンを摂ったほうがよいと考えがちですが、ウコンを摂ったために、かえって肝機能が低下して、肝臓病になってしまうという困った例があります。
大学の医学部に併設される病院では、医薬品と健康食品の相互作用(飲み合わせ)による健康被害について情報収集が行われています。この収集情報は厚生労働省を通じて医療機関や医療の専門家に伝えられています。もともとは医薬品の副作用の情報収集から始まったことですが、健康食品のレベルが高まっていくにつれて医薬品との飲み合わせによる副作用も確認されるようになりました。
患者の健康被害が医薬品によるものか、医薬品と健康食品の相互作用によるものかを知るための研究が進められる中で、どちらでもない、つまり医薬品が関わっていないのに医薬品と同様の健康被害が見られるようになりました。そこで始められたのが健康食品による健康被害の研究です。健康食品は食品だからといっても、成分を抽出、凝縮することで医薬品レベルの薬効がみられるようになりました。薬効があるということは、医薬品の副作用のような弊害も起こるということで、その実例報告が各大学の医学部から寄せられるようになりました。
健康食品の健康被害でも最も報告数が多いのはウコンによる肝機能障害です。ウコンは中国医学では鬱金と書かれる漢方薬の成分で、漢方であっても医薬品成分には違いがありません。ウコンの効能としては飲酒時の悪酔い、二日酔いの予防があげられますが、これはアルコールが変化した有害成分のアセトアルデヒドを分解する作用があるからです。飲酒をする人がウコンを摂った場合にはプラスに働いても、飲酒をしない人がウコンを摂ると薬剤成分を分解するために肝臓に負担がかかります。ウコンは飲酒をする人のためのものであって、飲酒をしない人が肝臓を強くしよう、肝機能を高めようと期待して摂るものではないということです。
ウコンの概要については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。医薬品と健康食品の飲み合わせの情報は「ナチュラルメディシン・データベース」の日本対応版に掲載されていますが、日本医師会のホームページの会員向けページの地域医療・診療支援からアクセスできます。日本医師会に所属する医師なら知っていて当然と思われる医薬品と健康食品の飲み合わせですが、詳しく知っている医師は、まだまだ少ないようです。