オリゴ糖は甘いのか甘くないのか

「甘い」という言葉は味覚を示す意味のほかにも、さまざまなシーンで使われます。“甘い”と言われて飲んだお酒が、実は甘くはなかったというのは普通にあることで、口当たりが穏やかで、刺激が少ないものにも表現として“甘い”は使われます。味以外でも“甘い香り”とか“甘い言葉”、“甘い声”、“甘い新婚生活”といった使われ方がされています。厳しさに欠けていることを“甘い”と表現することもあり、甘い考え、子供に甘い、甘い採点といった使われ方で、ネジが甘い、甘い相場という使われ方もします。
今回のテーマのオリゴ糖の甘いというのは、味の話と同時に、厳しいという話にもつながります。オリゴ糖は胃では消化されず、そのために小腸で吸収されず、大腸に運ばれてから腸内細菌によって分解されて腸内細菌の栄養源(エサ)になります。そのため、「甘くても吸収されないのだからダイエットには問題ない」と言われることがあるのですが、オリゴ糖に味はありません。オリゴ糖の商品の中には甘みがあるものも存在しているものの、これは甘味料の味です。味の話でいうと、オリゴ糖は甘くないというのが正解です。
オリゴ糖は機能性表示食品の制度が発足してから、しばらくは届け出ができないという厳しい状態でしたが、2018年4月から糖質と糖類を機能性関与成分とした機能性表示食品の届け出が認められました。その第一号の届け出として消費者庁に受理されたのはオリゴ糖です。一般のオリゴ糖はブドウ糖が鎖状につながったものですが、受理されたのは環状オリゴ糖といって輪になってつながったものです。環状オリゴ糖には6個がつながったα型、7個がつながったβ型、8個がつながったγ型があって、今回の受理はα型のオリゴ糖です。
受理の内容は糖質の吸収抑制による食後の血糖値の上昇抑制です。このα型オリゴ糖という糖を摂ることによって、体内の糖の動きに影響があるということで、食事で糖質が含まれたものを摂っても、砂糖を摂っても血糖値の上昇が抑えられるということで、ついつい糖質を求めてしまう人にとっては「甘いけれども甘くない」素晴らしい健康素材となります。