キノコが免疫を高める理由

免疫の話になると必ずと言ってよいほど出てくるのがキノコです。最近は「菌活」なる言葉もあって、キノコに含まれている多糖類のβ−グルカンが注目されています。なぜβ−グルカンが免疫を強化するのかというと、免疫細胞の栄養源(エサ)になっているからです。
細胞の栄養というと一般にはエネルギー源と呼ばれて、糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、たんぱく質(アミノ酸)が、それに該当します。β−グルカンは多糖類という糖質が多くつながった構造をしているので、細胞の中でエネルギーを作り出すエネルギー源であるのは想像がつきそうです。しかし、実際にはエネルギー源にはなってくれません。多糖類は糖類が多く固まったまま吸収されるので、ブドウ糖のようなバラバラの単糖にはならないのです。多糖類のまま吸収されます。
キノコにはβ−グルカンが多く含まれるといっても、そのまま食べたのではほとんど吸収されません。キノコは軟らかくても細胞膜は硬くて、切ったり噛んだりしてもβ−グルカンの多くは外には出ることがありません。そこで、健康食品の素材としてのβ−グルカンの場合には発酵させたり、圧力をかけることによって細胞膜を破壊しています。それによって抽出できるだけです。
食品としてのキノコは、冷凍させてから調理に使うと、解凍されるときに細胞膜が破壊されます。この方法を活用したのがエノキ氷で、美味しい出汁が出ることが知られています。出汁が出るということは細胞膜が破壊された証拠で、β−グルカンも出ているわけです。
キノコの中でもシイタケに多く含まれているビタミンDには、細菌やウイルスを破壊する抗菌ペプチドを作らせる作用があります。ビタミンDは紫外線を浴びることによってシイタケの内部に増えていきます。乾燥シイタケを食べればビタミンDを多く摂取できると思われがちですが、安い乾燥シイタケには熱風乾燥させたものが多く、あまり紫外線を浴びていないという実情があります。そんな乾燥シイタケは家庭に持ち帰ってから日光浴をさせることで、ビタミンDを増やすことができます。