ゲーム依存は発達障害を引き起こすのか

子どものゲーム依存症を減らすために、平日は60分以内、休日は90分以内、午後10時以降はゲーム禁止ということを打ち出したのは香川県のネット・ゲーム依存症対策条例です。条例案が発表されたときからネットでは賛否の意見が寄せられて、香川県民だけでなく、興味を抱く人たちから発達障害との関わりの声も出ていました。その中で気になるのは、ゲーム依存になると発達障害になるという意見です。
発達障害は生まれつきの脳の発達のズレで、そのために自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害などの特徴が表れます。原因は明確ではないものの、少なくともゲーム依存は含まれていません。発達障害児がゲーム依存になることはあっても、ゲーム依存によって発達障害になることはないということです。もともと発達障害であったのが、発見されないまま育ち、ゲーム依存が疑われて検査をしたところ発達障害が発見されたということが考えられます。
WHO(世界保健機関)というと、新型コロナウイルス感染で注目度が高まりましたが、国連の専門機関であるWHOはゲーム依存症を疾患の一つとして認定しています。今回のネット・ゲーム依存症対策条例はWHOの認定を受けて考えられたもので、精神疾患の防止という意味では効果が期待されるものです。
発達障害の自閉症スペクトラム障害は、ひきこもりになりやすく、実際にひきこもりの大人を調査したところ30%は発達障害であったことが内閣府の調査で明らかになっています。子どものひきこもりというとゲームやネットに熱中しているイメージがあって、ゲーム依存と呼ばれるほど長時間やっていると発達障害になってしまうというイメージにつながっているようです。
発達障害とゲーム依存はイコールではないものの、発達であったとしても軽度だった人が、ゲーム依存によって強く特徴が現れるようになり、発達障害で苦しむことになるということは充分に考えられることです。その点ではゲームをする時間に制限を加えることは有効だということができます。しかし、発達障害のことを考えると、1日に60分以内であれば問題がないということについては、まだまだ検討する必要があります。