コエンザイムQ10で歩数は増えるのか

コエンザイムQ10の吸収率が高くないという話をセミナーでしたときに、「それでも効果があるのだから摂るべきでは」という声をいただいたことがあります。今どきのセミナー参加者は、情報通でもあるので、スマホ片手に、わからない用語が出てくると検索しながら、そちらの情報を見ながら耳をセミナーのほうに向けているという人もいます。その質問者もスマホ片手だったので、どんな内容を見ているのかと聞いたところ、“還元型コエンザイムQ10の摂取で1078歩増加”というデータでした。これは摂取前の歩数と摂取して8週間後の比較ですが、これだけを見ると、コエンザイムQ10を摂るだけで歩数が増えるという画期的な結果に見えます。
会場内の方にも伝えたほうがよい情報と判断して、日本メディカルダイエット支援機構の講師も、すぐに同じ情報サイトで検索をしました。確かに1078歩が増えていたという結果でしたが、これだと“これさえ摂ればダイエットできる”というのと似た雰囲気を感じました。健康づくりのために歩くことをすすめても、なかなか歩数が増えない現状があり、ダイエットのためにサプリメントを摂ると、それに安心して運動をしなくなるという傾向があります。それなのに、サプリメントを摂ったら歩数が増えるというのは画期的な結果です。
しかし、私たちは表面上のデータではなくて、比較データの有無に注目します。歩数が増えるというデータは、単純に増えたということではなくて、他の会社のコエンザイムQ10を摂った場合の結果も示していました。他の会社のものは増えていなかったということを、ある意味で期待して見てみたところ、8週間後の結果では523歩が増えていました。その差は555歩、増えた分だけで比較すると2倍以上にもなっています。
なぜ、コエンザイムQ10を摂ることで歩数が増えたのか、それも異なる商品で、そのような結果になったのかということは明らかにしておかないと素直に結果を受け入れられないところがあります。例えば、コエンザイムQ10を摂ることで歩数が変化するのかを確認する試験だと言って行ったとすると、効果があるものを摂っていると意識するだけで、よい結果が出てほしいというモチベーションとなって、自然と歩くようになるというのは、よくあることです。
そんな話もセミナーに差し込んで、疑問を提示して、すぐに信じてはいけない、自分の頭で考えて判断してほしい、そのためには勉強も必要だ、という話もさせてもらっています。