サプリメントに効能効果が書かれていない理由

サプリメント(健康食品)を使っている人は、何らかの目的を持っています。ダイエットしたい、血圧を下げたい、血糖値を下げたいといったことですが、自分の目的に合ったサプリメントを見つけるのは容易ではありません。というのは、商品のパッケージを見ても、チラシやパンフレットを見ても“効能効果”が書かれていないからです。なぜかというと、法律で禁止されているからです。
法律というのは医薬品医療機器法。これは略称で、正しくは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と言います。以前は正式名で薬事法だったのですが、2014年に改正によって中身(条文)とともに法律名も変わりました。この法律は医薬品などを規制する法律で、サプリメントを規制するものではありません。しかし、サプリメントの表示を取り締まる法律となっています。というのは、医薬品でないサプリメントが医薬品と同じようなことを表示すると、サプリメントと医薬品との区別がつかなくなり、“医薬品の信頼が失われる”といった考え方から、医薬品に許可されている効能効果、用法用量をサプリメントでは述べることができないのです。
医薬品医療機器法には、「疾病の診断、治療、予防に使用されることが目的とされているものは医薬品」だという主旨が書かれています。疾病、つまり高血圧症や糖尿病といった病気の種類を示すことは医薬品だけに許されていることで、それ以外の食品では禁止されています。
ここで“食品”と書いたのは、サプリメントの位置付けを示したかったからです。食品表示法には「医薬品以外は食品」という主旨が書かれています。医薬品と同じ形状であったり、同じような効能効果があったとしても医薬品の承認と許可を得ていないものは、すべて食品に分類されます。
食品に含まれる成分には、活性酸素を消去する抗酸化作用や血糖値の上昇を抑える抗血糖作用があることが知られていますが、それでも食品なので商品として販売するときには、これらの作用を原則的に表示できません。“原則的に”ということは例外もあるわけで、作用を示してよいものとして特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品、栄養機能食品があります。
作用を示すことができるといっても、血糖値の上昇を緩やかにする、といったものであって、糖尿病を治す、改善するということを表示することはできません。これらは病気の治療に当たるからです。サプリメントの広告を見ると、病気の予防を匂わせるものを目にします。このことは専門用語では“暗示”といいます。病気を治すというのはダメでも、予防ならいいだろうと考えて、堂々と病名を出して「予防する」と書かれていることもありますが、これは法律違反です。医薬品医療機器法には「予防を目的とするものは医薬品」と示されているからです。