サプリ概論190 睡眠の質の向上の意味

1本に乳酸菌が1000億個入った乳酸菌飲料の人気が高すぎて、欲しくても購入できない、転売が起こるという大人気になって、気になったのは、そんなに優れた効果なのかということです。この飲料は消費者庁による機能性表示食品で、「ストレス緩和」と「睡眠の質向上」の機能を表示して販売することが許可されています。
機能性表示食品は研究成果を提出するもので、個別の商品で審査を受けたものではありません。研究成果と同じ成分が同じだけ含まれていれば、同じ効果があるという推定のもとに有効性の表示が認められています。
この乳酸菌飲料のストレス緩和は、唾液中のコルチゾール濃度の上昇抑制、ストレス体感の抑制を指しています。コルチゾールは抗ストレスホルモンで、この濃度の上昇が抑えられたということはストレスが減った証拠とみられています。ストレス体感の抑制というのは、一時的な精神的ストレスがかかる状況でストレスを和らげるということで、ずっとストレスを受けている人でストレスが弱まるというということではなくて、ストレスがなくなるわけでもありません。
睡眠の質のほうですが、熟眠時間と熟眠度が増加、起床時の眠気を示すスコアで改善が認められたとしています。熟眠時間はノンレムステージ3の睡眠時間のことで、深い眠りを指しています。いわゆるグッスリと眠っている状態です。熟眠度は第一周期のデルタパワーのことで、睡眠は90分周期で深い、浅いを繰り返していますが、1回目の深い眠りのときに出るデルタ波が多くなって熟睡していることを示しています。
これを見ると熟睡が保証されているようにも思えるところですが、睡眠は90分周期で4回は繰り返されるので、全部の眠りが深いのかというと、それはわかりません。
今回の試験結果は、ともに試験を控えた医学部生を対象にした実証データであって、睡眠の質に悩みを抱えている人と同じ対象で調べたわけではありません。自分に合っているのかは試してみないとわからないことですが、試したくても試せない状況が続いているということです。