スポーツ飲料は飲む点滴なのか

甘酒ブームが起こったときに、「飲む点滴」というキャッチフレーズが使われました。点滴は元気がなくなったとき、病気のときに使われるもので、その主成分はブドウ糖です。体液と近いミネラルも含まれていますが、最も重要なのは、すぐにエネルギー化されるブドウ糖です。ブドウ糖は血液中に入って、全身に運ばれ、細胞に取り込まれて重要なエネルギー源となります。エネルギー源が不足していたのでは、細胞の中で作り出されるエネルギーが正常な状態よりも減ってしまい、パワーが出なくなってしまいます。
ブドウ糖が重要だということになると、点滴に次いで効果が得られるのは甘酒ではなくて、スポーツ飲料ということがわかります。ここで商品名をあげるのは適切かわかりませんが、大塚製薬のポカリスエットは点滴として医療機関で使われていたもののアレンジ商品で、もともと飲む点滴として開発されました。大塚製薬は医療機関では点滴と濃厚流動食の会社として知られています。点滴のシェアは国内トップを占めています。ちなみに、濃厚流動食のほうはカロリーメイトとして発展しました。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長は、血糖値は高くはないのですが、あるクリニックで検査を受けたときに血糖値の数値を見た医師から「糖尿病だ」と言われたことがあります。多量に汗をかくことがあり、疲労が蓄積しないように診察を受けたあとに点滴をする予定だったのですが、看護師が間違えて、先に点滴をしたために糖尿病と診断されるほどの血糖値になってしまったということです。
これは極端な例ですが、病院で検査を受ける前に、喉が渇いたというのでスポーツ飲料を飲んで高血糖状態になって、糖尿病と疑われるという例は少なくありません。スポーツ飲料は身体によいものというイメージがあって、病院内の自動販売機でも売られていますが、こんな間違いが起こらないような注意喚起は必要です。寝る前には水分を摂るように言われますが、ブドウ糖が多く含まれたスポーツ飲料を寝る前に飲んだら太る要因となりかねません。これはブドウ糖によるエネルギー量の摂りすぎもあるのですが、血糖値が高い状態で寝ると、就寝中の脂肪分解が起こりにくくなり、せっかくの寝ている間のダイエット効果が得られなくなるからです。