スリム型肥満とサルコペニア肥満

スリム型肥満という言葉は聞きなれないかもしれませんが、随分と前から言われてきたことで、見た目は太っていないのに、肥満の指針とされる体脂肪を測定すると肥満の範囲に達している人を指して使われています。体脂肪率から肥満を定義・分類すると、男性は軽度肥満が20%以上、中等度肥満が25%以上、重度肥満は30%以上となります。女性は男性に比べて体脂肪が10%ほど多いとされています。そのため、女性のほうが体脂肪率の基準は高くなっていて、軽度肥満が30%以上、中等度肥満が35%以上、重度肥満は40%以上となっています。男性の危険レベルの体脂肪率30%は、女性の場合には軽度肥満で、まだ改善が楽にできる段階となっているわけです。
スリム型肥満は少女に多くみられます。なぜスリムなのに肥満なのかというと、筋肉量が少なくて、全体的には普通の体型か比較的細身に見えても、実は体脂肪率が30%を超えているという状態です。その原因ですが、ダイエットの繰り返しをしている人が目立っています。正しいダイエット知識がない少女は、太るのは食べすぎが原因で、食べる量が少なければ太らないという思い込みもあって、食べる量を減らして、あまり運動をしないという傾向があります。中には、食事量を減らしておなかがすいているので運動ができないと言う少女もいます。運動をしないで1kgの体重が減ると、筋肉は25%ほども減り、その後に太ると増えているのは体脂肪だけです。このようなダイエットを繰り返していると、筋肉は減り続け、体脂肪が増え続けて肥満に向かうだけということです。
そんなダイエット法にはまってしまう理由ですが、最も多いのは「母親のようになりたくないから」というものです。その恐怖(?)から運動をしない無理な食事制限をしてしまうということですが、筋肉が脂肪を燃焼させるので、運動をして筋肉を増やしておかないと燃焼機関が小さくなって、運動をしても、なかなか体脂肪が減らないということにもなるのです。
もう一つのサルコペニア肥満は高齢者に多くみられるもので、筋肉量は50〜60歳代でもピークの20歳に比べると30%は減少して、70歳代では50%も減少します。その減り方が大きいと、筋肉量が少ないために体脂肪が増えていても、見た目は変わらないので気づかないということです。