ダイエットにもすすめたいスロー筋トレ

筋トレというと、重いものを持ち上げたり、勢いをつけて動くことがメインと考えられがちですが、もともと筋肉が少ない人やシニアの場合には筋肉がつきにくく、なかなか効果が現れにくくなっています。筋肉の細胞は細長い形をしていることから筋繊維と呼ばれています。筋肉をつけるというと筋繊維の数が増えていくことがイメージされていますが、筋繊維の数は生まれたときから変化がないとされています。数が変わらないのに筋トレをすると筋肉の量が増えるのは、一つひとつの筋繊維が太くなっていくからです。
筋繊維は細いので、筋肉に負荷がかかると一部が切れます。切れたままでは筋肉を充分に使うことができないことから、たんぱく質を吸着させて修復していきます。この修復のために必要なのが成長ホルモンです。成長ホルモンというと成長期に分泌される印象がありますが、成長期を過ぎてからは筋肉の修復や疲労回復に多くが使われます。大人になってから成長ホルモンが多く分泌されるのは就寝中と運動後です。寝ている間にも筋肉は増えているのです。
年齢を重ねていくと成長ホルモンの分泌量が大きく低下するので、運動をしても筋肉が太くなっていきにくいのですが、高齢者であっても成長ホルモンの分泌を増やしていく方法があります。それは軽い負荷の運動を、ゆっくりと時間をかけて行うことで、これはスロー筋トレと呼ばれています。
ゆっくりと走るスロージョギングと間違われることもあるのですが、スロージョギングは歩く程度のスピードで走る方法で、筋肉の中に取り込まれる酸素量が増えて、脂肪の燃焼効率が高まります。ちなみに全身の筋肉の70%は下半身(ヘソから下)にあります。スロージョギングで主に使われる筋肉が赤筋であるのに対して、スロー筋トレでは白筋が中心となります。赤筋は持久力に適した脂肪燃焼系の筋肉で、白筋は瞬発力に適した糖質燃焼系の筋肉です。
スロー筋トレで一番簡単な方法は屈伸運動です。通常の屈伸運動は膝を深く曲げ、立ち上がるときには膝を伸ばし切ります。これに対してスロー筋トレでは膝は曲げきらず、伸ばしきらず、ずっと負荷がかかった状態で屈伸を繰り返します。これによって強い負荷がかかり続けた同じ状態になって、成長ホルモンが多く分泌されるようになります。
ダンベル運動の場合も、持ち上げるときには肘を曲げきらず、ダンベルを下げるときにも肘を伸ばしきらないように、ゆっくりと筋肉を動かします。実際にやってみると腕の筋肉に相当の負荷がかかったように感じるのですが、筋繊維はそれほど傷んではいないので成長ホルモンが筋繊維を太く、強くすることに有効に使われるようになります。
スロー筋トレによる屈伸運動は、足の筋肉は腕に比べて太い筋肉で、筋繊維の数も多いので、ダンベル運動よりも負荷を感じずに、長く続けることができます。成長ホルモンは筋肉を動かした部分だけでなく全身の筋肉に影響を与えます。それもあって、全身の疲労回復の効果も望めます。