トマトの動脈硬化予防効果の決め手成分

トマトといえば抗酸化成分のリコピンが有名で、赤い色素成分であることから、色が濃いトマトほど活性酸素を消去する働きが強いことが知られています。紫外線を浴びると活性酸素が発生するのは人間も植物も同じです。人間なら紫外線を避けて動くことはできるものの、植物は動くことができません。植物は紫外線を浴びることによって光合成が起こるので、日光を浴びるのは成長のためには必要ですが、そのために発生した活性酸素によって細胞が傷つけられてしまったら、順調に成長することができなくなります。そこで、内部に活性酸素を消去する抗酸化成分を溜め込んでいます。この抗酸化成分を私たちは摂取して、活性酸素に打ち勝とうとしています。
活性酸素は動脈硬化の原因になります。血液中のLDLコレステロールが酸化すると免疫細胞のマクロファージが取り込んで処理します。LDLコレステロールは体内で合成されるものなので、マクロファージのターゲットにはならないのですが、酸化すると異物と認識されて、内部に取り込んで処理する貪食が起こります。貪食を続けたマクロファージは活動を止めて、血管の中にたまっていき、血管を硬く、狭くしていきます。これが動脈硬化の始まりです。活性酸素によるLDLコレステロールの酸化が問題であるので、活性酸素を消去することが重要になります。
トマトは動脈硬化の予防作用が強いので、リコピンの働きが強いということが常識のように語られてきていましたが、それだけではないということが言われるようになっています。それはトマトにだけ含まれているエスクレオサイドAという成分の研究が進んできたからです。エスクレオサイドAとは日本人の研究者が発見したトマトサポニンというステロイド配糖体です。LDLコレステロールを低下させ、マクロファージの肥大化を防ぐ作用があり、これが動脈硬化の予防につながっています。
テレビ番組で大々的に取り上げられたのは最近のことなので、なんだか新しい情報のように思われがちですが、エスクレオサイドAが発見されたのは2003年のことです。エスクレオサイドAは高温に弱く、80℃を超えると破壊されるので、生で食べる必要があります。エスクレオサイドAはミニトマトに多く、ミニトマトはリコピンも多いので、ミニトマトを食べることがすすめられます。
リコピンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。