ノルディックウォーキングの3つの“べからず”

べからずは、べしの打ち消しの言い方で、平たく言うと「やっちゃいけないこと」を指しています。三大べからず集というのは、どの業界にもあるようで、私たちがすすめているノルディックスタイルのウォーキングでも最低限守るべきことを伝えています。里山を歩くにはポールの支えがあると安全であり、効率的に歩けるので、普通に歩くよりも楽しみながら進むことができます。
初めてのノルディック体験をする人が数多くいるときには、専門の指導者を団体から派遣してもらうようにしています。基本的なポールを使っての歩き方を教わったら、もう一つの基本中の基本であるべからずを伝えて、さあ歩きましょうということになるのですが、早く目的地に着きたいという気持ちが強い人が多くて、べからず集を伝えないままにスタートしてしまったことがあります。
その伝えるべきことですが、第一はポールを指差し代わりに使わないことです。ポールを胸の高さ以上にあげると、周囲の人に当たって事故の原因にもなりかねません。都市部では建物のエレベータのボタンを押すのに使わないことも言っています。半分はギャグ感覚で言っているのですが、実際にポールの先で押している人を見かけて、それ以降は指先でエレベータのボタンが押せなくなってしまいました。
第二は混雑しているところではポールで歩かないことです。勢いよく歩くノルディックウォーキングは混雑しているところでは危険です。体を支えながら歩くディフェンシブのポールウォーキングでも、例えばデパートの店舗内で、まさかポールで歩いている人はいないだろうという前提なので、ポールに引っかかって周囲の人を転ばせてしまうことにもなります。ましてやポールの先を高く上げるようなことをすると、これは故意に事故を起こそうとしていると言われても仕方がありません。
そして、最後の第三のべからずは、チャンバラをしないこと。さすがに大人はやらないのですが、子供は2本のポールがあると戦ってみたくなります。ポールを使って歩くノルディックスタイルのウォーキングを「身を守るためのウォーキング」と称している人がいます。ディフェンシブの歩き方を言っているのではなくて、歩いている途中で暴漢に襲われそうになったときにポールで戦えるというのです。これは私たちが言っている“べからず”を、あえてメリットにしようということで、このことも話をするときに伝えるようにしています。