ノルディックウォーキングは身体負荷を感じにくい

2本のポールを使って歩くノルディックスタイルのウォーキングは、ポールによって身体を支えることから身体にかかる負荷が弱く感じます。しかし、実際には上体を使って、勢いよく歩くことから全身の筋肉のうち90%ほどを使うために心拍数が高まりやすくなっています。普通に歩くだけだと下半身(ヘソから下)の70%ほどの筋肉が主に使われるので、この20%の差と歩き方が心拍数に影響を与えています。
心拍数の上昇は測定してみないとわかりにくくて、ポールによって身体的な負荷が弱まっていると、心拍数も大きく上昇していなくて、心臓にも血管にも負担がかかっていないように思いがちです。そこで、心拍計をつけて歩くことがノルディックウォーキングにはすすめられます。ノルディックウォーキングを楽しむ全員が心拍計をつける必要はなくて、指導者が自分の心拍数を見ながら、同じペースで歩くようにするのが一般的です。
しかし、心臓病の人だけでなく、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)では血管の老化が進みやすく、肥満の人でも同様に血管の老化が進んでいる可能性が高くなっています。そのため、これらに該当する人、中でも年齢が高めの人は心拍計をつけて歩かないと危険なことにもなりかねません。
ノルディックスタイルのウォーキングの中でも、前つきのポールウォーキングは身体的な負荷が弱めであることから、観光にウォーキングを取り入れる活動でも採用されています。足元が悪い道路でもポールの支えがあると歩きやすく、健康面でも効果が高いのですが、身体的な負荷が感じにくいと、ついつい頑張って歩いてしまいがちです。生活習慣病の改善のためにはグイグイと勢いよく歩いたほうがよいと思って、まるで負けず嫌いかと思うほどに頑張ってしまいます。それが血管に負担をかけて、改善どころか逆に健康を害することにもなるので、絶対に心拍計で心拍数の変化を注視しながら歩いてほしいのです。