ヒトケミカルは健康食品ではなくサプリメント

サプリメントは、一般には健康食品を英語で表現したものと言われています。つまり、「サプリメント=健康食品」と考えられているわけです。日本メディカルダイエット支援機構でも、一般向けにはサプリメントは健康食品や栄養補助食品などを指すと簡単に説明しています。しかし、厳密にいうと等号否定、つまり「サプリメント≠健康食品」となっています。
わかりにくい話かもしれないので、詳しく説明させてもらいます。
サプリメント(Supplement)には補助、補充、補足という意味があります。食品としてのサプリメントはアメリカの「ダイエタリー・サプリメント」(Dietary Supplement)を略したもので、「日常の食生活では不足する栄養成分を補うもの」と定義されています。これに従うと、食品そのものとして食べるものであっても、普段の食事からは不足している栄養を補うものはサプリメントということになりますが、通常では錠剤やカプセルの形状になっているものを指しています。
この錠剤やカプセルの中に、食品から抽出、凝縮、加工が行われた食品に含まれる成分が入っているわけです。
サプリメントは、単に食事で不足するものを補うというだけでなく、体内で不足すると身体機能や健康に影響を与えるものを補うものです。食事で補うことができないと影響を与えるものとしては三大栄養素(糖質、脂質、たんぱく質)とビタミン、ミネラルがあげられていますが、これに私たちは三大ヒトケミカル(α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10)を加えています。三大栄養素、ビタミン、ミネラル、三大ヒトケミカルは、それぞれ体内での作用が異なっていて、他に代わりをする成分がありません。だから、体外から摂取しなければならないわけです。
健康食品に分類されているものの中には、サプリメントとして区分けしなければならないものもあります。それが混同されていることが、サプリメントの分類と役割をわかりにくくさせています。
健康食品は、表示の分類では特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品、それ以外の“いわゆる健康食品”に大きく4つに分類されています。このうち栄養機能食品はビタミン(13種類)、ミネラル(6種類)、脂肪酸(1種類)が認められ、それぞれの成分が一定量含まれているものは栄養機能食品の表示をして、認められた範囲での機能性を示して販売することが許可されています。これは身体機能の維持に必要であり、他に代わるものがないので栄養機能食品はサプリメントということになります。
三大ヒトケミカルは細胞のミトコンドリアの中でエネルギー代謝をするために欠かせない成分で、そのために体内で合成されています。しかし、20歳をピークに加齢につれて減少する一方で、これが代謝を低下させる要因となっています。コエンザイムQ10は20歳に比べて40歳代では70%ほどに、60歳代では50%ほどにも減少します。L‐カルニチンは20歳代に比べて60歳代では60%ほどに減少するという研究報告があります。
α‐リポ酸はブドウ糖をエネルギー化されるアセチルCoAに変換させてミトコンドリアに取り込む働きがあります。L‐カルニチンは脂肪酸と結びついてミトコンドリアの膜を通過させる働きがあります。コエンザイムQ10はミトコンドリア内でエネルギー産生するTCA回路を働かせる補酵素の役割をしています。
これらの三大ヒトケミカルが不足しないことでミトコンドリアでのエネルギー産生が充分に行われ、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が多く作られます。ATPは体熱を作り、全身の細胞を機能させるエネルギー源となります。全身の臓器や器官の働きのほか、脳や神経の働き、免疫などのエネルギー源となっているため、三大ヒトケミカルの不足は全身の機能低下や老化を進める原因となることがわかります。