フルーツと腸内環境の深い関係1

日本人は腸内環境がよい国民とされてきましたが、近年では疑問が抱かれるようになってきています。日本人の便通の回数は平均すると週に7回で、ほぼ毎日便通があるのが平均となっています。それに対してアメリカ人は週に5回が平均で、1週間に2日は便通がなくても当たり前の状態となっています。便通が悪いと腸内細菌の悪玉菌が作り出した毒素(有害物質)が大腸壁を刺激していくことになります。そのためにアメリカ人には大腸がんが多くなっています。
これは食生活が大きく関係していて、食事で摂る野菜やフルーツが多く、食物繊維の摂取量が多いほうが便通はよくなります。では、食物繊維は多ければ多いほどよいのかというと、そうとは限りません。食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水を含んで膨らむ水溶性食物繊維の2種類があります。不溶性食物繊維は穀類、イモ類、野菜に含まれているセルロースなどで、ボソボソした食感となっています。水溶性食物繊維の代表は海藻類、きのこ、フルーツに含まれるペクチンなどです。
不溶性食物繊維には便を硬くする作用があり、便通がよくない人の場合には、多く摂ると、かえって便秘を進めることにもなりかねません。それに対して水溶性食物繊維は便を軟らかくする作用があるので、フルーツに多く含まれる食物繊維は便通を促進して、腸内環境が整えられていきます。
腸内には1000種類以上、約1000兆個もの腸内細菌が棲みついているとされます。以前は100種類以上、約100兆個といわれていましたが、そのときから種類と数が多くなったということではなくて、研究によって明らかになってきた結果といえます。これらの腸内細菌は善玉菌と悪玉菌、日和見菌に大きく分けられます。
善玉菌はビフィズス菌や乳酸棹菌などの乳酸菌類が代表的なもので、悪玉菌はウェルシュ菌や大腸菌、赤痢菌など数多くの種類があります。日和見菌は腸内環境によって善玉菌が増えると善玉菌と同じような働きをする一方で、悪玉菌が増えると悪玉菌と同じような働きをするもので、バクテロイデス、ユウバクテリウム、嫌気性連鎖球菌などの種類があります。