ブドウ糖が細胞に取り込まれる仕組み

ダイエットの話をすると、必ずといってよいほど聞かれるのが「食事と運動のどちらをすればよいのか」ということです。私たちの答えとしては「両方ともすればよい」となるのですが、「どちらか一つだけ」と問われれば「運動!」と答えるようにしています。その理由として初めに述べているのは「食事を減らして運動をしないと筋肉が減っていって、代謝が低下するので太る体質になるから」ということです。個人差はあるのですが、運動なしで1kgの減量だった場合には“体脂肪3対筋肉1”くらいの割合で減少して、次に1kgが戻ったとすると増えたのは体脂肪だけなので、「太りやすく、痩せにくくなる」と説明しています。
運動しないとよくない結果になるのは糖尿病の人でも同じことが言えます。食事量を減らしても、なかなか血糖値が下がらないという人は、大抵は運動不足です。食事をすると血液中のブドウ糖をエネルギー源とするために、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。血糖値を上昇させるホルモンは複数あるのですが、降下させるホルモンはインスリンだけです。糖尿病はインスリンの分泌が低下しているのが一つの原因です。インスリンが分泌されると細胞にあるインスリン受容体を刺激して、GLUT4という血液中のブドウ糖を細胞内に取り込む輸送体が細胞の中から細胞の表面に移動してきます。このGLUT4によってブドウ糖が細胞に取り込まれていって、細胞内でエネルギー源として使われるようになるのです。
この働きがよくないと、インスリンが分泌されてもブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなって、血糖値が下がりにくくなります。これがインスリン抵抗性と呼ばれるもので、これを改善するには運動をすることが必要です。その仕組みについては、書き込むスペースが短くなってきたので、次回に説明させてもらいます。