ポストコロナ「喉元過ぎれば暑さ寒さも彼岸まで」1

苦しかったことや辛かったことも、その時期を過ぎてしまえば忘れてしまうことはよくあることで、コロナ禍で死ぬような思いをした人であっても、これからは前のようなことはないだろうと考えてしまうと、特段の対策をしないということで、今回は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という諺(ことわざ)をもじった「喉元過ぎれば暑さ寒さも彼岸まで」を用いてコロナ後を考えていきます。
元となっている「喉元過ぎれば熱さ忘れる」は、とても熱いものを口にしたときに、もう熱いものを食べるのはやめようと思っても、懲りずにまた同じことを繰り返すことだと一般には思われているようです。諺というのは深い教訓が含まれていて、ただ単に同じ過ちを繰り返す人のことを揶揄するものではないはずです。ひどく熱いものを口にして火傷しそうになったということではなくて、他人の前で吐き出すこともできない、かといって飲み込むこともできないという、熱さだけでない苦しい思いのことも指しています。
さらに深い意味もあって、こちらのほうが重要だと思うところですが、「苦しいときに他の人から受けた恩は、そのときにはありがたいと感じても、時が過ぎると、やがて忘れてしまい、ありがたいと思わなくなる」ということも指し示しています。
ただ忘れるだけならまだしも、恩を受けた人に対して、自分が苦しくなってくると「恩を仇で返す」ようなことをする人もいて、コロナ禍で苦しい思いをした人によく見られたことです。このようなことをする人を、このポストコロナのシリーズのコラムでは「オンをオフで返す」という言葉を使って表現させてもらいました。
「喉元過ぎれば暑さ寒さも彼岸まで」という言葉は、“彼岸”の意味がわかれば、なるほどなと理解してもらえるはずです。もちろん、春分と秋分の前後3日を合わせた各7日間の季節のことではなくて、あの世の極楽浄土のことです。
その本来の意味と、コロナ後のつながりについては次回に続きます。