ミニトマトとプチトマトの認識ギャップ

ミニトマトとプチトマトの違いについて、テレビ番組で取り上げていました。解説をしていたのは、元カゴメの研究所のトマト博士とも呼ばれる農学博士で、今は大学教授という専門家中の専門家だけあって、的確にコメントされていました。10〜20gの小さなトマトはミニトマトと総称されていて、その中の一種がプチトマトです。プチはフランス語、ミニは英語という違いだけではなかったのです。プチトマトはタキイ種苗が輸入して販売していたミニトマトの固有名称で、現在は販売されていません。ということは、プチトマトは存在していないのに、過去の習慣からプチトマトと呼んでいる人がいるということです。
番組では紹介していなかったのですが、タキイ種苗はトマトの代表ブランドの桃太郎の種を販売している会社で、以前は半分赤くて、半分緑色という段階のトマトでもピンク色で店頭でも長く売れる、しかも甘くて以前のようなトマト臭さがないという品種を世に送り出しました。
この番組を見ていた他局のディレクターから、他に使える野菜の名前に関するネタはないか、との問い合わせがありました。返答したことを、ここで紹介しても、このサイトを見ている人は視聴率に影響を与えるほどではないだろうということで、スナップえんどうとスナックえんどうの違いについて紹介します。
スナップ(snap)はパチンとかポキンという音を立てることを意味していて、アメリカから種が輸入されて広まりました。総称はスナップえんどうです。スナックえんどうはスナックのように食べられるということで名付けられたもので、その名で販売しているのはサカタのタネです。タキイ種苗と並ぶ業界大手です。両名称があるのは消費者が混乱するとのことで農林水産省が統一に動いたことがありましたが、今も両方の名称で販売されています。
もう一つないかとの要望で答えたのは大葉です。刺身や料理の添え物などに使われているのは大葉と呼ばれています。大葉は青紫蘇のことです。紫蘇(しそ)には赤紫蘇と青紫蘇があり、赤紫蘇は梅干しや紅生姜などの色づけに使われるもので、青紫蘇は緑色のまま使われます。緑色のものを、なぜ“青”と呼ぶのかという話は別の機会にさせてもらうとして、なぜ同じものを大葉と青紫蘇と別に呼ぶのかというと、大葉は静岡県の農協が市場に出すために青紫蘇を束ねて流通させたときに大葉という名称を使い、青紫蘇の出荷量は静岡県がトップであることから全国に広まりました。