モデル歩きで骨への刺激が増えるのか

「正しいウォーキングの方法は、足腰に負荷がかからないように頭、胸、腰、膝が一直線になるポーズで歩くこと」ということを図まで示してテレビ番組で紹介していましたが、それを見た他局のディレクターから、私たちがすすめている歩き方と違っているが大丈夫か、というメールが来ました。
私たちがすすめているのは、まっすぐの姿勢から足を前に出すというイメージではなく、直立の姿勢から前に身体を傾けていって、前に倒れそうになる寸前に片足を前に出します。そうすると上体が前に少し傾いた前傾姿勢となります。この前傾姿勢で左右の足を踏み出すと、前に倒れる力を推進力にすることができます。また、少し前傾姿勢になることで腹筋と背筋が緊張して、腹部を引き締めます。これによって体幹がしっかりとするので、身体がブレずに前進することができるようになります。
まっすぐになって歩くと、それを教えている先生はスタイルがよいので腹が出るようなことはないのですが、そうでない人は腹が前に出てしまいます。そのために推進力がないと力士のような歩き方になってしまいます。
少し前傾姿勢で歩くと自然と歩幅が広がっていきます。そのときに意識して歩幅を広げるようにすると、下半身の力が強くなってグイグイと歩けるようになります。この姿勢での歩行では、背中にバッグを背負っていても平気で歩けます。これだけでも足の筋肉にかかる力が高まります。日本人は足の表側の筋肉は丈夫でも、裏側に筋肉がつきにくくなっています。それが姿勢をキープできない理由にもなっていて、歩幅を広げたグイグイ歩きは弱点部分の筋肉を強化する効果もあります。
グイグイ歩きは骨にかかる刺激も強くなります。少し重いくらいの荷物を背負っていると、体重が重くなったのと同じで、骨への刺激が高まります。骨に刺激が加わると骨細胞が活性されて、骨を作る骨芽細胞が増えていきます。骨を壊す破骨細胞の働きは年齢による変化が少ないのに対して、骨芽細胞は年齢を重ねるほど働きが悪くなります。それなのに骨に刺激が伝わらないような歩き方をしていると、骨の老化は進む一方となります。そこで年齢を重ねるほど歩幅を広げて歩くようにしてほしいのです。
グイグイ歩きをするときには、あえて振り子式の歩数計をつけています。3D加速度センサー式の歩数計は移動をすればカウントされるので、歩幅が狭く、すり足のような歩き方でもカウントされて歩数が増えます。ところが、振り子式は勢いのよい歩き方でないとカウントされないので、歩数を増やそうとしたら勢いよく歩なかないといけないからです。