一食抜きは太るのかやせるのか

一食抜きはよくないという話をしても、それでも食べなかった分だけやせるという考えを拭えない人は少なくありません。そういった人には一食抜きをすると「やせるどころか、かえって太る」という話をしています。例えば朝食を抜くと、空腹のあまりに昼食を腹を満たすために食べてしまうので、食べすぎになるということはあります。ここで話をするのは、そういったことではなくて、消費エネルギー量が減ってしまうという事実です。
1日に消費するエネルギー量のうち約70%が基礎代謝で、これは体温維持や生命維持のために使われるエネルギー量です。約20%が活動代謝で、身体を動かすために使われます。活動量が普段の2倍だとするとプラス20%分でのエネルギーが使われることになります。2倍動いたから2倍食べてよいということはなくて、2倍動いたとしたら2割しか増やせないことになります。
そして、残りの約10%は食事誘発性熱産生での消費エネルギー量です。これは食事をした後に体温が高まることで使われるエネルギー量です。この食事誘発性熱産生が食事抜きで太る要因となっています。1日の消費エネルギー量のうち10%分というのは三食を食べた場合のことで、一食を抜いても他の二食なり間食で同じエネルギー量を摂ったとすると、3%ほどが使われないことになります。10%のうち朝食を抜いたとすると他の二食よりも少ないので3%として計算しました。
1日に2000kcalを摂ったとすると3%は60kcalです。1年では「60kcal×365日=21900kcal」となります。減らす脂肪のエネルギー量ですが、1gあたり約9kcalで、脂肪細胞に蓄積されている体脂肪の場合には20%が水分なので、体脂肪1kg分だと「9kcal×1000g×80%=7200kcal」となります。これで計算すると「21900kcal÷7200kcal」で約3kgとなります。つまり、1年間で3kgが増えていくわけですが、1日に2000kcalの摂取エネルギー量は女性の平均で、男性では2400kcalです。これで計算すると約3.6kcalとなります。
こんなにも太る可能性があるということですが、これを運動で使っていれば太らないことになるわけです。フルマラソン1回分は2400kcalの消費エネルギーとされるので、1年間にフルマラソンを9回ほどやっていればいいことになります。