七味唐辛子は7種類の香辛料の組み合わせなのか

甘味、塩味、酸味、苦味、辛味、旨味、脂味が七味と呼ばれるようになったという話を受けて、同じ七味という名前がついているものに七味唐辛子があります。唐辛子というと基本的なものは鷹の爪ですが、弥平とうがらし、島とうがらし、青とうがらしという日本の種類のほかに、ハバネロ、ブート・ジョロキア、ハラペーニョ、トリニダード・スコーピオンなどの強烈なものもあります。それぞれ味というか辛さが違っているので、この中から7種類を組み合わせたのが七味唐辛子という考え方をしている若者もいました。
もちろん、七味唐辛子というのは、一味唐辛子にプラス6で7種類の材料を加えたものが基本です。何を加えているのかというと、その場で少しずつ加えていって調整するところでは、それぞれの材料名が記してあります。それを見ると、唐辛子、山椒、陳皮、麻の実、芥子の実、紫蘇の実、青海苔、黒胡麻、白胡麻、生姜となっています。陳皮というのはミカンの皮を乾燥させた生薬です。唐辛子の中には焼いた焼唐辛子を使っているものもあります。これらを全部加えていくと11種類にもなります。胡麻を1種類、唐辛子を1種類と数えても9種類になります。ということで、味わいに合わせて7種類を選んでいるというわけです。
唐辛子の主成分はカプサイシンという辛味成分で、脳を刺激して興奮物質のアドレナリンを分泌させて、体温上昇や発汗を促します。また、カプサイシンには痛覚を刺激する作用があるのですが、痛い辛味というと山椒も特徴的で、「山椒は小粒でもピリリと辛い」と昔から言われています。七味唐辛子で使われるのは山椒の実を乾燥させたものです。山椒の辛味成分はサンショールといって、ピリリと辛いのは麻痺作用によるものです。麻痺というよりも“痛い”という感覚のほうが合っているかもしれません。
京都では、伝統的な料理だけでなく、饂飩(うどん)や蕎麦(そば)、果てはパスタやピザにも振りかけています。一味唐辛子ならぬ一味山椒も普通に販売されていて、冷奴でも、ご飯ものの味付けにも使われています。痛い辛味は特別な味わいを生んでくれるので便利に使われています。また、一味唐辛子と一味山椒の組み合わせも、なかなかの味わいです。