七大栄養素と八大栄養素の差

以前に「七大栄養素」という話を紹介したところ、「六大栄養素にプラスされたのは何か」という質問をされたものです。六大栄養素ですが、まずは三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質が三大栄養素となり、それにビタミン、ミネラル、食物繊維が加わります。かなり以前は糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが五大栄養素とされていて、食物繊維は消化も吸収もされないので、無駄なもの扱いされていました。ところが、食物繊維は腸内細菌によって分解されて、腸内環境を整えることが確認されてから、第六の栄養素となりました。
ここまでが過去の話で、七大栄養素と言われるようになったときに何が加わったのかというと、フィトケミカルです。フィト(phyto)は植物のことで、フィトケミカル(phytochemical)は植物に含まれる化合物を指します。さまざまな機能がありますが、中でも注目されているか、プッシュされているのは抗酸化機能です。植物に含まれている成分の機能は、一つの植物に限られているわけではなくて、例えば抗酸化でいえば、トマトのリコピン、ウコンのクルクミン、ブルーベリーのアントシアニン、緑茶のカテキン、大豆のサポニン、ニンジンのβカロテンなどがあげられます。同じ抗酸化機能でも複数の種類があります。
これに対して、八大栄養素でプラスされるヒトケミカルは、一つの成分が一つの働きしかしません。その働きが組み合わされて身体にとって重要な働きである代謝を行っています。一つ目のR‐αリポ酸(天然型のα‐リポ酸)は細胞のミトコンドリアにブドウ糖を取り込んでエネルギー代謝を促進するために欠かせない成分です。二つ目のL‐カルニチンはミトコンドリアに脂肪酸を取り込んでエネルギー代謝を促進するために欠かせない成分です。そして、三つ目のコエンザイムQ10はミトコンドリアの中でエネルギー産生を行う酵素の働きをサポートする補酵素です。
この3種類は三大ヒトケミカルと呼ばれています。それも体内で合成されるものの、20歳をピークにして減少していきます。減少によって代謝が低下するだけでなく、不足は代謝に関わる疾患の原因にもなります。そのために医薬品成分としての使用が以前から許可されていました。それが今では食品成分としても許可されて、サプリメント成分として使用することが許可されています。
α‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。