三世代の健康づくりは研究モデルになるのか

三世代でウォーキングという前々回の話を見て、雑誌記者から連絡がありました。「ただ三世代で歩くだけなのか」という質問がありましたが、それだけの考えではないだろうという穿った考えです。そう思われるのは、これまでの日本メディカルダイエット支援機構の仕掛けを見続けてきたからでしょうが、そう言われてみると三世代のウォーキングは研究モデルとして成立するかもしれないという考えになってきました。
これまで地域の研究モデルというと、有名な中之条研究のように、高齢者の1日の歩数を記録して、それを分析して、どれくらいの歩数が実際の健康づくりによいかというようなものがほとんどでした。歩数だけでなく、身体状況と日常活動も研究テーマとなり、どんな生活をすると健康づくりに役立つのかを割り出すには一定の効果がありました。しかし、高齢化率が限界に達していて、このままでは高齢者の次の世代(親世代)ばかりか、その次の世代(孫世代)も元気でいてくれないと限界点を超えてしまうというような切迫した状況にある自治体では、ゆっくりと研究をして、その成果を待って、どのように活かしていけばよいのか検討するという悠長なことはしていられません。
長い期間をかけて研究しているうちに、もっと状況が悪化する地域も多く、健康に役立つ介入を行っていく必要に迫られています。そこで成果が出やすい歩数の増加、運動の機会の増加、食事内容の見直しなどが実践されるのですが、どの自治体も悩んでいるのが「やってみたものの長続きしない」ということです。鼻先の人参のように健幸ポイントを掲げた自治体もありますが、初年度はよくても次年度は伸び悩みというのが多くの結果です。実践するには、初めから長続きする方法を考えておかなければなりません。
そこで私たちが考えているのは、子供への介入によって親世代、祖父母世代を巻き込んで、それを継続のモチベーションとすることです。まだまだ実践に向けて検討しなければならないことは山積していますが、子供の運動を進めて、そこに親と祖父母が付き添い、付き添うだけでなく親も祖父母も楽しめる運動を提供するようにしていくことです。そのために使えるのではないかと考えているのは、認知機能を高めることを目的にアレンジしたスポーツです。これを研究モデルにする方法については次の機会に触れるようにします。