下を見て歩いても“お金”は落ちていない

高齢者はウォーキングのときに、首が前に行き、肩も落ちて、背中が丸まって前かがみになって歩く傾向があり、見た目の印象としてはトボトボ歩きになりがちです。しっかりと背筋を伸ばし、上体の中心に肩を移動させ、その上に首を乗せるという姿勢の作り方を伝えるようにしていますが、それでも前かがみになる人が多くて、それも中高年でも高齢者と同じ感じで歩いている人もいます。
そういう人と出会ったときに話しているのが「下を見て歩いても金目のものは落ちていません」「先に歩いた人に拾われていますよ」ということです。できるだけ前方向の目線を向けて、少なくとも10m以上先を見るようにして歩くことをすすめているのですが、それでも目線が下がることがあります。私たちも、路面を確認するとき、歩きにくい路面があったときには足元を確認しながら歩くようにしています。
正しい姿勢で歩くことをすすめるときには、歩きやすい路面であることを確かめてからにしています。金目のものは落ちていなくても、大きめの石や枝が落ちていたり、秋から冬には枯葉で滑りやすくなっていたり、晴れているときには歩きやすくても雨が降った後には歩きにくくなる路面があることは充分に承知しています。
私たちがウォーキングイベントやトレーニングを行うときには、普通に見ているような距離ではなくて、かなり遠くを見ています。ウォーキングのコースにはクルマが通行する交差点もあれば、信号もあります。赤信号を渡らない当たり前のことを伝えていても、必ず守ってくれるとは限りません。ウォーカーを信用したい気持ちはあっても、万が一の行動で事故が起こってはいけないので、遠くを見ています。ウォーキングの専用ロードがあるところでも、そういった注意は必要で、歩くのが一般道となると歩道からはみ出さないように歩くようにする、歩道がない道ではクルマの通行の邪魔にならないように一列になって歩くことが守られているかも確認しないといけないので、少なくとも目線を下げて歩くことができないということです。