中薬は中くらいの効き目の薬なのか

中国の生薬の医薬品は中医薬と呼ばれます。これを略して“中薬”と呼んでいる人もいますが、生薬を知っている人なら、このような紛らわしい言葉は使いません。中薬というのは上薬と下薬の間に位置している生薬の分類だからです。
生薬は「上薬、中薬、下薬」の分類のほかに、「上品、中品、下品」と分類されることもあります。上品(じょうひん)や下品(げひん)なら聞いたことがあるけれど、中品というのは初めてかもしれませんが、ここでいう「上品、中品、下品」は読み方が違います。上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)と読みます。これは仏教用語の九品に由来するもので、極楽浄土を9段階に分けた上品上生、上品中生、上品下生、中品上生、中品中生、中品下生、下品上生、下品中生、下品下生からきています。
通常のランキングの考え方からすると、上薬が効き目が早い生薬で、下薬が効き目が遅い生薬という感じがしますが、そこが中医学の奥深いところで、上薬は西洋医学の医薬品のような特効薬としての効き目はないものの、毎日摂り続けることで体質を強化していくものです。しかも、副作用も弱く、他の医薬品の副作用を軽減させてくれるものを指しています。
下薬は西洋医学の薬にみられるもので、特効的に効果はあっても、副作用があり、体質に合わせて摂る量や期間を調整しなければならないものを指しています。これは冗談で話される「クスリは逆に読むとリスク」とされるものということになります。
では、中薬はというと、単純に上薬と下薬の中間的なものというものではなくて、予防薬のような存在で、穏やかに効いていくものであって、病気に対しては水際作戦に使えるものです。少ない量か短い期間の使用なら毒性が出ないものということです。
現在の中医学では、本来なら上薬であるものの中から、精製をして医薬品レベルまで高めたものが存在しています。医薬品レベルというのは日本からの目線で、実際には生薬が最先端医療の医薬品として使われています。その代表的なもので、しかも日本では同じものを健康食品として使うことができるものとして紹介したいのは中医薬製剤の金克槐耳顆粒です。