予備軍と予備群の違い

このテーマは、以前に紹介しました。パソコンの変換ソフトを使って“よびぐん”と打ち込むと、私たちのパソコンでは「予備群」と変換されます。変換の順位はパソコンの中に予め入れられているものではなくて、よく変換しているものが上位に出てきます。私たちは生活習慣病についての原稿を打ち込むことが多いために「予備群」という言葉になります。
予備群というのは、ある行動をしている人の集団のことで、一定の病気が発症しやすい人は、どんな食生活をしているのかというグループを示すときに使われます。“群”というのはグループを指しています。これが予備軍となると、もともとは軍隊の備えとしてある軍隊を指しています。ということで、私たちが対策に取り組んでいる生活習慣病ということでは、予備軍ではなく予備群になります。
このことは、わざわざ繰り返して紹介するまでもなかったのですが、あえて取り上げたのは、前回に紹介したメタボリックシンドロームを紹介したNHKのバラエティー番組で、物の見事に「予備軍」とテロップに表示して、意味的には“予備群”のことを紹介していたからです。
私たちは用語の辞典としては、今では広辞苑を主にしていますが、以前は読み間違えがないことを主に置いた「NHK漢字表記辞典」を使っていました。雑誌の校正にも使うところが多くて、原稿を書くときには「広辞苑に合わせますか、それともNHK漢字表記辞典に合わせますか」と聞いていたくらいです。
NHK漢字表記辞典は、あくまで読み間違えがないように、漢字では間違いやすいときには、あえてひらがなにするということを徹底しています。番組で読み前がえないようにするということでは、当然のことです。簡単な例では「人気」は“にんき”なのか“ひとけ”なのかわかりません。そこで漢字ではなく、これをひらがなで表示するのは、読み間違い防止ということでは当然のことです。
“予備群”も“予備軍”も、どちらも「よびぐん」となるので、辞書的には区別がつけにくいところですが、辞書に関係なく、予備軍と予備群は使い分けてほしい、なにしろ意味合いが異なるので、是非ともというのが私たちの思いです。