人は考える“足”である

「人間は考える葦である」と言ったのは、フランスの17世紀の思想家・数学者のブレーズ・パスカルです。エジプトのナイルの河畔に生えている葦は風が吹くとしなって風を受け流しますが、固い木は風が吹いてもしなりはしないものの強風では根元から折れてしまいます。それに対して葦は強風にも耐えることができます。人間は自然に対して無力であり、強者にも無力ではあるけれど、それに対応するために考えることで葦のように耐えられるということを示しています。
考えることは何事においても重要で、同じことをしているようでも考えながら行うことで柔軟性を持って、よい結果へと導くことができます。そういった意味合いもあって、毎日、当たり前のように行っている“歩く”ことも考えながら実施することで、より健康効果を高めることができます。
歩くことは赤ちゃんのときに立ったときから続けていることで、誰に習うことなくできることだけに、特別に歩き方を考えているという人は少ないかもしれません。しかし、長年の癖や身体の状態に合わせるように徐々に歩き方を変化させている人は多く、それが正しい姿勢で歩くことができない人を増やしています。
左右の足を交互に前に出せばとりあえず歩くことはできますが、人の足は踵で着地してから足裏を徐々に足先に向かって接地させながら体重を前に移していき、拇指(親指)から残りの4指を接地させて蹴り出すようにします。そのときに腰を前に押し出すようにして、次にはもう一方の足の踵を接地させます。これを続けて左右交互に足を前に出して歩くわけですが、こんな単純なことも考えないでやっていると、いつの間にか姿勢が崩れ、左右のバランスが取れない歩き方になっていきます。
歩くことは健康づくりの基本で、歩くほど身体によいとされていますが、それは正しい姿勢、正しい歩き方をしてこその話で、歩行姿勢が乱れていると、歩くほどに身体にダメージが出るようなことにもなりかねません。