人間は寝るために活動をするのか

どちらが先かという話は“鶏と卵”が代表的なものですが、どちらが重要かという話で、よく取り上げられるのは“人間は働くために食べるのか、食べるために働くのか”という言葉です。グルメ代表の方だと当然のように食べるために働くというのが答えだと主張しますが、本来は生きるためのエネルギー源を得るために食べるしかない、美味しいものを食べると消化も吸収もよくなって、身のための大切な栄養源とすることができます。どちらが正解というよりも、どちらともが正解ではないかと考えています。
今回のテーマの“寝る”ということを考えるときに、まず話をするのはマグロの脳と人間の脳の違いです。マグロの睡眠は泳ぎ続けている途中でスピードを落とす4〜5秒間しか寝ていません。マグロの脳は非常に小さくて、17mmのビー玉1個の6gほどとされています。これだけ小さいと、わずかの睡眠時間で足りるということです。それに対して人間の脳は体重の約2%で、50kgの人だと1kgほどですが、この脳で全身の総エネルギー量の18〜20%を消費しています。これだけの脳を正常に保つために睡眠が重要で、そのために7〜8時間も寝ないといけないのです。
こう考えると寝ることが重要で、充分な睡眠を得るために1日の活動を行っていると考えられることもあります。しかし、実際には充分な活動のために寝ることが必要であって、質のよい睡眠によって脳の疲れを回復させ、また脳を修復することになります。成長期の子供の場合には、脳を発達させる重要な機会が睡眠であるので、さらに睡眠の重要性が高まります。少なくとも、子供のときには睡眠時間を削って遊ぶとか、親の生活に合わせて夜更かしをするようなことがあってはいけないのです。
日本メディカルダイエット支援機構では、子供の発達障害の研究を進める中で、睡眠時間の短さ、深い眠りが得られないことによる影響についても調査、研究をしています。昼間の充分な活動、つまり身体を動かすことがよい睡眠を得るためには重要で、これによって脳の発達を正常な状態で進めていく活動に取り組んでいます。