体内のナトリウムを減らすための食事法

前回の塩飯の話を受けて、すぐに問い合わせをしてきたのは、毎日チェックしてくれている雑誌記者です。「そのまま記事にはならなくても、発想の参考になる」などと言って、気にしてくれています。食塩の過剰摂取を避けるためにコンビニやスーパーなどの塩飯を食べないようにしたくても、それを食べるしかないということもあります。また、外食にも塩飯を使うところが増えつつあるので、知らないうちに食べているということもあります。
となると、食塩を身体の中に入れない工夫、余分が塩分を排出する方法を考えなければならない、ということで、持ち帰りや外食で何を一緒に食べればよいのか、別の食事の機会であってもよいので何を食べればよいのかということを聞かれました。
胃の中に入った塩分(ナトリウム)の吸収を抑えるためには、水溶性食物繊維が有効です。水溶性食物繊維は水分を吸って膨らみ、ゲル状になって余分な成分を吸着する作用があります。水溶性食物繊維は消化も吸収もされないので、吸着された成分は胃から腸を通過していきます。そのまま排泄されるのかというと、水溶性食物繊維は大腸では腸内細菌によって分解されます。大腸からもナトリウムは吸収されます。
吸着されたナトリウムは排泄されるというようなことが書かれた書籍も目にしますが、実際には小腸からは吸収されず、大腸から吸収されるだけなので吸収量を減らす効果があるというのが正解です。どちらにしても水溶性食物繊維はナトリウムの吸収を抑える作用があるので、水溶性食物繊維が多く含まれるキノコ、海藻、果物です。果物の水溶性食物繊維はペクチンというジャムになる部分です。この他にコンニャクも水溶性食物繊維として紹介されるものの、凝固剤で固めたコンニャクは不溶性食物繊維と同じ性質になって、吸着作用はなくなってしまいます。
体内に入ったナトリウムを排出するために有効になるのはカリウムです。カリウムにはナトリウムが腎臓で再吸収されるのを減らして、尿からの排出を進める作用があります。カリウムは野菜や豆、いもなどに多く含まれています。普通の食事で不足することはないのですが、ナトリウムが多いと排出のためには多くの量が必要になります。野菜の摂取量が少ない人は、どうしても足りなくなります。サラダを毎日食べていても、煮野菜に比べると少ない量でしかありません。では煮野菜を食べればよいのかというと煮汁の中にカリウムが含まれるので煮汁まで摂るようにするか、生野菜を多く食べるようにしないといけないことになります。
知らないうちに塩分が多くなっている食生活では、水溶性食物繊維とカリウムの摂取を心がけないといけないということを伝えさせてもらいました。