体内時計が乱れると肥満になるメカニズム

体内時計は生体リズムを刻む基本となっていて、その中心は脳の視床下部の視交叉上核にあります。この部位がすべてのリズムに影響しているように思われがちですが、体内の各臓器にもあって、睡眠と目覚め、ホルモン分泌、自律神経調整などに影響を与えています。この体内時計が乱れると、目覚めているときに自律神経の副交感神経の働きが盛んになって活動的になれないということが起こり、その逆に夕方以降の心身ともに休まるはずの時間帯に交感神経の働きが盛んになって興奮状態のままということにもなります。これは発達障害では特に強く起こるようになることから、日本メディカルダイエット支援機構が推進する発達栄養学でも重要な改善ポイントとしています。
メディカルダイエットでは脂肪細胞でありながらもエネルギー代謝に関わっている褐色脂肪細胞が体内時計の調整に関わっていることは以前から注目していました。そのエビデンス情報は、それほど多くはなかったのですが、金沢大学の研究グループから発表された概日リズム(サーカディアンリズム)に影響する褐色脂肪細胞の機能は有効な情報となります。概日リズムは24時間を1周期とする生体のリズムで、体内時計が正確に刻まれていれば褐色脂肪細胞の機能である脂肪の分解、脂肪の代謝による体熱産生が盛んに行われます。ところが、体内時計が乱れてくると褐色脂肪細胞の機能が低下して、太りやすくなり、さらに肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病になりやすいことが報告されています。
体内時計が乱れていると褐色脂肪細胞の機能が低下して、通常の食事であっても白色脂肪細胞の中に蓄積される脂肪が増えていく傾向があるのに、高脂肪の食事をすると肥満になりやすいということです。体内時計のリセットは、ただ早起きをして、早めに就寝するということだけでなく、光刺激によって起こることが明らかにされているので、起床したら日光を浴びることが有効です。これは日光に含まれるブルーライトが中枢神経を刺激して交感神経を働かせるためですが、ブルーライトはパソコンやスマホ、テレビ画面などから出ています。夕方以降のデジタル生活は体内時計を乱す要因だということがわかります。