偏食の発達障害児の栄養指導に活用する食生活チェック

発達障害児は偏食傾向が強いことが知られています。強いというレベルでは済まずに、極端な偏食となっていることもあって、栄養バランスが乱れて、これが発達障害の状態を悪くすることにもなりかねません。単なる好き嫌いの範囲を超えて、絶対に食べられない食品、食べようとしても食べられない料理があるわけですが、これは発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害に多く見られます。
自閉症スペクトラム障害には、感覚過敏が多くみられ、触覚、味覚、嗅覚、聴覚、視覚のどれが過敏になっても食事に影響はあります。複数の感覚が過敏になることもあり、これが極端な偏食を引き起こす要因となっています。
食べられない食品を考慮して、交換する食品を選んでメニューを作るという方法を指導するのが一般的ですが、複数の食品が食べられないようなことになると、単純な交換、代替食では栄養の補給が保たれなくなります。そこで活用しているのが、日本メディカルダイエット支援機構が食生活の実態を調べるために実施している食生活チェックです。チェックのための調査票は、もともとは食傾向を確認するために作成したものです。
一般の食生活調査は、1週間などの一定期間の食材を調査して、どれくらいの栄養素を摂取したのかを調べて、栄養素の充足率を導き出すために実施しています。その結果を受けて、不足している栄養素をプラスして、摂りすぎると弊害が出るものはマイナスするように指導されるのが通常です。これはメニューと食材、分量、調理法を記録して提出するほうも大変で、この結果を受けて過不足を計算するほうも大変です。不足している栄養成分が指摘されても、食品は栄養素として売っているわけではなくて、いろいろな栄養素が含まれている食品を選び、不足している分を補うだけの分量を選んで、それが料理になったときに減る分も含めて食べるものと量を決めなければなりません。
そんな面倒なことを排除して、簡単にチェックして、簡単に指導できるようにしたのが、私たちのオリジナルの食生活チェックの調査票です。主食は1日に食べたものをチェックして、そのほかの主菜、副菜などは1週間に食べたものをチェックするだけです。チェック項目は食品の種類ごとに週に何回食べたかをチェックするようにしています。チェックが終わったら、面談をするなり感想を書いてもらうなりしてからアドバイスに移ります。そのアドバイスというのは、1日もしくは1週間に食べるべき回数を示すことが基本です。もちろん、なぜ必要なのかの説明をして、充分に理解してもらってから変更をするようにしてもらいます。
感想を出してもらうと、私たちがアドバイスしようとしていることと、ほぼ同じ結果が返ってきます。つまり、チェックしているうちに、これは食べなければならない、もっと食べたほうがよい、減らさないといけないということに自分で気づけるように作られているのです。この調査票は、食品の摂取回数と分量を変えるだけなので、忙しいお母さん方にも受け入れてもらいやすくなっています。負担をかけるようだと変更してもらうことも、続けることも難しくなります。特に発達障害で極端な偏食がある子どもが食べるものを作っている人にとっては、わかりやすくて続けられることでないと、よい結果が得られなくなるので、この方法をすすめるようにしています。