健康づくりには継続できるシステムが必要

健康づくりの立派な施設を見学させてもらう機会は過去から数えて何度もありましたが、このような施設はずっと続いてほしい、モデル施設として全国に広がってほしいと望むのですが、なかなか叶えられないのが実際のことです。素晴らしい施設は、施設そのもの、施設に導入される設備の有効性と安全性、それを確実に動かすシステム、そして実施できる人がいて初めて威力が発揮されることになります。
このうちの一つでも欠けたら、継続できなくなるどころか、短期間の運営さえもうまくいかなくなりかねません。特に問題となるのはシステムで、これも立派なものを導入することは可能でも、コンセプトがしっかりとしていて、それに基づいたシステムがあり、実現させられる人がいないことには続けたくても続けられなくなります。
日本メディカルダイエット支援機構の理事長が理事を務めていた公益財団法人日本健康スポーツ連盟は、「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」の調査・指導を実施している団体です。数多くのスポーツ施設の中から抜きん出て厚生労働大臣認定を得るためには、複数の条件をクリアする必要があります。その条件は、他の健康づくりの施設にも共通することとなっています。
まずは安全と衛生が確保されていて、施設内の設備はすべての筋肉と機能を鍛えられるものであり、それを使って安全かつ効果的な運動ができるプログラムが存在していることが大切な要素です。そのプログラムも全員に共通して使える大雑把なものではなく、個人対応ができるものが求められます。さらに安全性ということでは、医療機関との連携が重要で、身体機能や生活習慣病などによって通常の運動をすることに懸念を抱かれる人には医師との相談に対応できる体制が整っていることが条件となります。これらのことがシステムとして整備されている上に、これらのことを確実に実施できる人材が重要です。その人材は健康運動指導士(認定は公益財団法人健康・体力づくり事業財団)で、いつ施設に行ってもオープン時間には必ず1人以上の健康運動指導士がいて、プログラムに沿った運動ができる体制になっていることが絶対条件となっています。
ということは、何人かの健康運動指導士がいて、ローテーションを組んで指導できるということで、人材に金をかけている施設でないと、「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」を取得することができないということです。「厚生労働大臣認定運動型健康増進施設」は全国に300施設以上があり、この情報は日本健康スポーツ連盟のサイトを見るか、労働省のサイト内で検索すると出てきます。
こういった施設、設備、プログラム、医療連携、人材が整っていなくても施設を運営することは不可能ではありません。そこで働くスタッフの努力によって、それなりの成果をあげることはできます。それが美談として支えられている施設もありますが、美談は長続きするものではありません。スタッフが年齢を重ねていき、疲れも出てきて、うまくいかないこともあります。この人たちがいるからできる、では続かないので、いつでも誰でもできるようにプログラムを着実に実施し続けられるマニュアルが絶対に必要です。マニュアルが必要になってから作るのでは到底間に合わず、始める前からマニュアルを用意して、実際の運営を通じて変更を加えながら完成を目指していきます。
こういった姿勢があればこそ継続できる体制を完成させて、健康づくりの継続できるシステムを完成させることができると考えます。