健康と病気の間は未病かフレイルか

健康という状態でないけれど病気にもなっていないことは未病だということを、これまで何度も紹介してきました。未病は検査数値の血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値などが正常域を超えて、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などと診断されても、この段階なら元の状態に戻ることが可能で、その先にある動脈硬化、虚血性心疾患、脳血管疾患、そして疾患によって発症する合併症にならないようにすることができます。この戻れる状態であれば病気ではなく、健康と病気の間の未病と考えられています。
これまでは生活習慣病対策として、検査数値を上昇させないことを中心に考えてきました。血圧が高い人には、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値を上昇させないようにすることをすすめてきました。これらの生活習慣病リスクは一つだけのときに比べて、複数が重なると動脈硬化のリスクが急に高まり、心臓や脳血管の疾患が出やすくなるからです。これは中高年を意識した指導で、まだまだ調整力があるので、例えば血圧が高い状態であっても一つだけなら身体が対応して、病気にまで進まないようにすることができます。
ところが、年齢を重ねてくると、調整力が低下して、血圧の数値が高いということだけで動脈硬化になり、心疾患、脳血管疾患を引き起こすことになります。入院をきっかけにして活動量が低下して、筋肉量が減り、筋力が低下して、動く機会が減ることで食欲が低下して、筋肉を維持するために必要なたんぱく質が不足して、ますます筋力低下、活動低下となっていきます。
このように高齢になって筋力や活力が衰えた段階はフレイルと呼ばれています。日本老年医学会が命名して、予防に取り組むことを提言しています。フレイルは虚弱を意味する海外の老年医学の分野で使用されている「frailty」から来ている言葉です。また、日本老年医学会では、フレイルを健康と病気の中間的な段階であるとしています。健康と病気の間ということでは未病と同様とも考えられています。
検査数値が正常域にあっても、フレイルと指摘される状態になったら、リスクが高いと判断して、筋力を低下させないための運動と、運動による筋肉強化を効率的に進めるための栄養補給をすることを日本メディカルダイエット支援機構ではすすめています。